4.7 14:00

明治安田J1 第7節 vs. 湘南ベルマーレ
HOMEエディオンピースウイング広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
2
0
湘南ベルマーレ 湘南
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前半
0
2
後半
0

試合の見どころ

 勢いを加速させたい一戦だ。昇格組ながら快進撃を続ける首位・町田との対戦となった前節は、内容でも力の差を示して2-1の勝利。試合前から強い雨が降りしきり、さらに前半15分にはCB荒木隼人が負傷交代する難しいシチュエーションとなったが、広島の持ち味であるアグレッシブかつ強度の高い戦いを存分に発揮し、敵将・黒田剛監督に「明らかに広島さんのほうが上手だった」と言わしめるゲームとなった。この結果、2位に浮上した広島と町田との勝点差はわずか「1」。まだまだシーズンは序盤戦とはいえ、この時期から上位にい続けることは重要だ。今節は町田を倒した勢いそのままに今季初の連勝へ挑む。
 もちろん今回も油断はできない相手だ。ホームに迎える湘南は、ここまで1勝2分3敗の18位と下位に甘んじているが、「チームとして戦ってくる良いチームだと思っている」(ミヒャエル・スキッベ監督)。湘南の伝統とも言える“走力”は今季も健在。素早い攻守の切り替えやハードな守備、そしてテンポの良いパスワークを生かしたカウンターは脅威となっており、それをチーム全員が同じ意思を持って徹底して戦ってくる。また、3バックや4バックなど、相手に合わせてシステムを変えられる柔軟性も湘南の強みで、今節も何らかの仕掛けがあるかもしれない。
 さらに、新しい力のある芽が次々と出てくるのも湘南の特長だ。今季広島に加入した大橋祐紀もそうだが、昨季途中にはエース・町野修斗も抜けるなど、ストライカーが他クラブへ移籍しながらも、新エース候補が毎年のように台頭してくる。今季の得点源は、福岡から加入したルキアンに加え、現在勢いに乗るのは20歳の鈴木章斗だ。昨季は27試合出場(先発6試合)で3得点だったが、今季は出場6試合で早くも昨季と並ぶ3得点。力強いドリブル突破や強烈なミドルシュートを備えており、ポテンシャル十分のFWである。ルキアンの高い能力は分かっているが、そこだけに気を取られると痛い目にあうだろう。
 その湘南を迎え撃つ広島としては、前節同様のタフさが求められる。町田を上回った球際の攻防やセカンドボール、攻守の切り替えは、まさに湘南戦でも求められる一番のポイントだ。まずは、このベースの部分で相手に負けないことが主導権掌握に繋がってくる。そして、前節負傷交代した荒木の穴を右ワイド・中野就斗が埋めたように、ケガ人が続出する中でも“総力戦”で乗り切りたいところ。「いろんな選手がさまざまなポジションをやることによって、戦術・やり方が変わってくるのがこのチームの特長だと思っている」(スキッベ監督)。固定概念に捉われない柔軟な采配を見せる指揮官の下、全員が力を出し尽くし、湘南撃破を目指す。

監督 試合前日コメント

──中3日の連戦となりますが、選手の状態はいかがでしょうか?
「問題ないです。準備はできていますし、明日の試合は100%でやっていけると思っています」

──今回の3連戦では、試合に出たメンバーに対して試合後2日間の休みを与えていました。練習は試合前日のみとなりましたが、その意図を教えてください。
「それが回復するのに一番良い方法だと思っているので、2日間休ませました。ただ、昨日も(町田戦の先発メンバーは)何人か練習場に来ていました。チームの練習とは別でランニングしたり、部屋でケアをしたり。ですので、(休みだからと言って選手は)砂浜で寝っ転がっているだけではないですよ(笑)」

──湘南は失点が多いですが、得点は取れています。今季はどういう印象でしょうか?
「湘南はいつも選手を獲られる側だと思っています。町野修斗が(海外移籍で)抜けて、大橋(祐紀)が広島に来ました。オフェンスの選手が抜かれたにも関わらず、それと同等のクオリティーの選手を育てたり、獲ってきたりして、しっかりと穴埋めをしています。本当にうまくいっているチームだと思っています。また、この前のU-23日本代表の試合も観ましたが、そこに出ていた若い選手もしっかり活躍していますね」

──湘南のキーマンは?
「しいて挙げるとするならば、背番号5(田中聡)になるのかなと思います。彼がしっかり中盤の底にいて、ボールを配球しています。チームとしての特長があるとすれば、前線にも後ろにもフィジカルの強い選手がいる。そしてセカンドボールを拾う。そういったところは注意しないといけないのと同時に、彼らは相手に合わせて戦術を変えてきます。そこも彼らの強みだと思っています。3バックでやったり、4バックでやったり、時には5バックのような形になったり。チームとして戦ってくる良いチームだと思っています」

──前節・町田戦では、中野就斗選手が練習でもほとんどやったことのない3バックのセンターを務めました。監督の采配では、選手が練習でやっていないポジションに置いても機能しています。どうして、そういったことができるのでしょうか?
「いろんな選手がさまざまなポジションをやることによって、戦術・やり方が変わってくるのがこのチームの特長だと思っています。いろんなポジションができる、ポジションの自由度が高い選手がいるのは自分たちにとって嬉しいことです。もともと、中野は右ワイドが慣れていないポジションでした。CBとして育てられてきた選手で、(町田戦では)右サイドから戻った形になります。問題ないのではないでしょうか。それに、両サイドに塩谷(司)、佐々木(翔)がいたら、何も怖くはないでしょう(笑)」

ゲームレポート

 広島が根気強く湘南を攻略した。
 序盤は湘南の勢いに苦戦した。「湘南は最初の20~25分、我々がやりたかったようなサッカーをやってきた」とミヒャエル・スキッベ監督が話したように、中盤でハードに戦ってきた相手にやや後手を踏んだ広島は、前線に配置されたルキアンのパワーや左サイド・畑大雅のスピードを生かした攻めに手を焼く。13分には、CB中野就斗がルキアンに振り切られて、あわやPK献上かと思われたシーンがあった他、右サイドを何度か攻略されてヒヤリとする場面も作られた。だが、当然ながら広島もこのまま黙っていない。30分あたりからセカンドボールの対応で上回り、持ち前のパスワークを生かしたスピーディーな攻撃が徐々に出てくると、満田誠や大橋祐紀、加藤陸次樹らが積極的にシュートを放って相手を脅かしていく。前半アディショナルタイムには、左サイドのCKから佐々木翔も決定的なヘディングシュートを見せるなど、得点の匂いを漂わせて前半を終えた。
「25~30分ぐらいから良いサッカーができるようになってきた。これを続けよう」  ハーフタイム、そうミヒャエル・スキッベ監督の指示を受けた紫軍団は、言葉どおりにいきなりチャンスをモノにした。47分、加藤のスルーパスから大橋が湘南GKのファウルを誘い、相手は一発退場&PKを獲得。交代で入った湘南のGK馬渡洋樹のアップを待って迎えた52分のPK、大橋が真ん中に豪快に蹴り込んで古巣相手に先制点を奪って見せた。
 その後の広島は、一人多いアドバンテージを生かしながら試合を進めた。相手のカウンターはほぼ許さず湘南陣地でサッカーを展開すると、積極的に2点目を狙いに行った。後半から入った右サイド・越道草太が62分、65分と立て続けにカットインからの左足でゴールを狙えば、松本泰志や野津田岳人もミドルの位置からでも果敢にシュートを放つ。85分には満田が東俊希のクロスから決定的なシュートを放ったが、これも相手GKのファインセーブにあった。加藤もGKとの1対1を逃してしまうなど、嫌な空気になりかけたが、この試合の主役は、やはり大橋だった。試合終了直前の後半アディショナルタイム、加藤のパスに抜け出した背番号77は、豪快に右足を振り抜いて2-0。初の古巣対決でいきなり2得点を挙げたエースの活躍で、紫軍団がホームゲームで今季初の2連勝を達成し、開幕からの無敗試合を『7』に伸ばした。

監督 試合後コメント

「まず戦術的な部分で最初の相手のサッカーは素晴らしかったです。湘南は最初の20~25分、我々がやりたかったようなサッカーをやりました。自陣のゴールから遠ざけたところでサッカーをすること。相手がそれができていました。ただ、その後からは自分たちがゲームを握ったと思っています。前半の内にも二つ、三つ、大きいチャンスがありました。後半に関しては非常に満足しています。たくさんのチャンスを作ることができましたし、相手陣内でサッカーをすることができました。ただ、あれだけチャンスがあったので、できるだけ早く2点目が欲しかったというのが本音です。もし今日、運がもう少し足りない状況でしたら、引き分けで終わってもおかしくありませんでした。その中でしっかり勝つことができた。勝利に値するパフォーマンスだったと思っています。また、オーちゃん(大橋祐紀)が湘南ではなく、ウチでプレーしてくれていることを嬉しく思います」

──前半は相手に主導権を握られましたが、後半に新井直人選手を下げて越道草太選手を投入した意図を教えてください。
「前半の途中から、残りの15分、20分のところでもっとオフェンシブにサッカーをやりたいと思いました。そのため、速い選手をワイドに置きました。越道(草太)に関しては、熱いプレーで前に進むところは非常に良くやってくれたと思っています。後半にゲームが支配できた理由の一つに彼が入ったこと、彼のプレーが挙げられると思います」

──戦術的に相手が素晴らしかったと話しましたが、前半湘南はどういった部分に難しさを感じたのでしょうか?
「至る場面で1対1の状況を作られて、激しいプレスを受け、自分たちがやろうとしているサッカーをやらせてもらえませんでした。途中から対応できるようになり、そこからさらにサイドチェンジを使うことによって、それを剥がせるようになりました。そこからスピードを上げることで、チャンスを作ることができたと思っています」

──湘南のルキアン選手が起点となって、広島の右サイドで危険なシーンを作られていました。途中から良さを消すことはできていましたが、どういった指示を出したのでしょうか?
「ルキアンは体が強いだけでなく、スピードもありますし、テクニックもある選手だと思います。中野がマンツーマンで付いていましたが、少し距離が近過ぎて前半に一つ危ないシーンがあったと思います。近過ぎて裏を取られてしまいました。ただ、その後は全員が対応できたと思います。中野だけでなく、ウチのDF3枚は、彼に対して適切な守り方をしたと思います。後半に一つ大きなチャンスを彼に与えてしまいましたが、そこは(大迫)敬介を含めて、よく守ったと思います」

──井上愛簾選手がJ1デビューしましたが、クラブ最年少のようです。彼の起用理由に今後について。
「彼に関しては、宮崎キャンプの時から帯同していますが、総合的に持っている選手だと思っています。その中で彼自身が証明した部分として、ここ数試合はベンチに入ったり、やっとデビューを果たしたわけです。今回の最年少デビューについては、彼自身も、彼の家族にとっても、誇りに思うべきだと思います。同時にクラブにとっても、こういった選手をデビューさせることができた。今日のベンチには(同期の)中島洋太朗もいましたし、自分たちの育成を誇りに思って良い部分だと思います」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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