4.24 19:00

ルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦 vs. 奈良クラブ
AWAYロートフィールド奈良

試合終了

奈良クラブ 奈良クラブ
0
6
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
1
0
後半
5

試合の見どころ

 とにかく、目の前の試合に勝ち続けるのみだ。今季からレギュレーションが大きく変わり、J3を含めたすべてのJリーグクラブがトーナメント方式で参加することになったYBCルヴァンカップ。グループステージ方式だった昨季までとは異なり、最初から一発勝負とあっては“勝利”だけを求めるのみ。広島としては2年ぶりの王者奪還に向けて、24日にスタートを切る。
 当然ながら初戦から気の抜けない戦いとなる。敵地で臨む相手はJ3に所属する奈良クラブ。カテゴリーが二つ下のチームとあって“勝って当たり前”の空気が漂うが、それこそが危険だ。昨季、天皇杯ではJ2の栃木SCに敗れている広島としては違うカテゴリーのチームと戦う難しさは痛感しており、「カップ戦は何が起こるか分からない。他のJ1クラブも苦戦しているし、集中して臨まないといけない」とミヒャエル・スキッベ監督は気を引き締める。すでに先週水曜日には初戦を戦ったJ1クラブもあるが、C大阪や神戸、鹿島などもJ3クラブとは1点差の僅差の勝利である。やはり、油断は大きな敵だ。
 その奈良については、J3の中でも“異質”のチームだろう。「野心的なクラブ」とスキッベ監督も語るとおり、トップチームの監督だけでなく、ユースチームもスペイン人が指揮を執るなど、アカデミーから一貫した指導メソッドを採用。現在のトップチームでは、スペインらしいボールを大切にするサッカーを披露している。GKからボールを繋ぐことにチャレンジし、バイタルエリアに進出すれば流動的なコンビネーションでゴールを目指す。2-2で引き分けた直近のリーグ・松本山雅戦の2得点も流れの中から奪った見事な連係からだった。また、テクニックのあるアタッカー・西田恵や中盤でゲームをコントロールする中島賢星など、力のある選手もいる。現在はJ3で1勝5分4敗と結果がなかなか付いていないが、12得点を挙げている攻撃力は警戒だ。
 広島としては、スタイルをそのままぶつけるだけである。相手のパスワークに対しては、持ち味のハイプレスで封じて主導権を奪い、敵陣地ではスピーディーなサイド攻撃やコンビネーションで奈良守備陣を攻略すること。ドローに終わっている直近のリーグ2試合では1点しか奪えていない“得点力”が課題となっているが、どちらも二桁のシュートを放つなどチャンスは作れている。奈良戦もチャンスを作り続けることはもちろん、ゴール前では冷静に。試合を優位に進めるためにも、“複数得点”は大きなカギとなる。

監督 試合前日コメント

──明日はカテゴリーが下のチームとの対戦となりますが、奈良クラブのイメージは?
「相手どうこうよりも、自分たちだと思っています。難しい戦いになるのは、どの(J1)クラブも経験しています。集中して、いつもどおりのサッカーをすることが大事になると思っています」

──この難しい試合を乗り越えるために必要なことはありますか?
「リスペクトは必要だと思っています。やはり自分たちが上にいる、優れているという気持ちでサッカーをした時には、より難しくなる。『相手もできる』とリスペクトすることは大事だと思います」

──連戦となりますが、選手の入れ替えは考えていますか?
「(ルヴァンカップでは)メンバーを20人連れていけるのはアドバンテージになると思っています。Jリーグはしっかり考えてくれていると思いますし、20人連れていけることで交代も多くできます。それによって選手の負荷を調整できると思っています」

──奈良はしっかりと守りを固めてくることが予想されますが、背後を取ることも難しくなるかもしれません。その場合どうすべきだと考えていますか?
「相手が与えてくれたスペースを見つけて、そこをしっかり突いていくことがまず重要になると思います。福岡のように引いて守ってくる相手に対しても自分たちはチャンスを作れましたし、逆に前から当たってくる札幌とやってもチャンスは作れました。自分たちがどうクリエイトするか。(引いた相手にも)十分にやっていけると思っています」

ゲームレポート

2年ぶりのルヴァンカップ制覇に向け、広島が幸先の良いスタートを切った。
「難しい戦いになる」。相手はJ3に所属する奈良となったが、戦前にミヒャエル・スキッベ監督が予想していたとおり、試合は簡単には進まなかった。広島はいつもどおりのハイプレスで主導権を奪い、敵陣地でサッカーを展開する中、序盤以外は相手にほとんど攻め込ませずに先制点を取りに行ったが、集中力高く守ってきた相手守備陣をなかなか崩せない。16分、ボランチで先発となった東俊希のミドルシュートを皮切りに、大橋祐紀や加藤陸次樹、野津田岳人も遠い位置からでも積極的に狙って行く。さらにCKを何本も獲得して攻め立てながら、なかなか得点を奪えない嫌な空気になりかけたが、このじれったい展開をこじ開けたのは頼れる36歳のベテランだった。43分、右サイドを越道草太が攻略してクロスを送り込むと、ゴール前の混戦から最後は柏好文が詰めて先制点を奪取。今季、公式戦では一度もベンチ入りさえしていなかった背番号18が、巡ってきた初先発のチャンスをいきなりモノにしてみせた。
「前半のようなサッカーができれば、勝利は間違いない。安定した集中したパフォーマンスが出せているぞ!」
そのまま1-0で前半を終えて迎えたハーフタイム、スキッベ監督からそう指示を受けた紫軍団は、後半も奈良ゴールへ勢いよく迫った。すると、ほぼ勝負を決める2点目が生まれたのは開始早々の48分だった。左サイド・柏からのクロスを大橋が左足で合わせて2-0。さらに攻撃の手を緩めなかった広島は、52分にも越道が獲得したPKを満田誠が確実に決めて3-0とするなど、後半開始から奈良を圧倒した。
 その後はケガで離脱していたピエロス・ソティリウやマルコス・ジュニオールの他、公式戦では初のベンチ入りとなった青山敏弘を投入して落ち着いてゲームを進めた広島は、終了間際の89分にもマルコスの右からクロスを東がヘディングで合わせて4-0。さらにピエロスとマルコスも得点を重ね、終わってみれば6-0と力の差を見せ付ける大勝となった。
 無事に初戦を通過し、スキッベ監督は「我々のチームが見せたパフォーマンスは納得できる出来でしたし、自分たちがこの大会がどれだけ大事かを示せたと思っています」と選手を称えて会場を後にした。

監督 試合後コメント

「面白い試合だったと思います。相手もモチベーション高く挑んできました。我々のチームが見せたパフォーマンスは納得できる出来でしたし、自分たちがこの大会がどれだけ大事かを示せたと思っています。今日は駒を一つ進められて嬉しく思いますけれども、これだけ多くの広島のファン・サポーターが来てくれたこと、それから奈良のファン・サポーターがすごく良い雰囲気を作ってくれたこと、それにはすごく感銘しました。今日勝てたことは本当に嬉しく思いますし、来月にまたルヴァンカップを戦えることを嬉しく思っています」

──前半は重苦しい雰囲気もありましたが、ベテラン・柏好文選手が素晴らしいゴールを決めました。
「序盤は相手がコンパクトにしっかり守っていました。そこで裏に抜ける動きで崩すことは非常に重要だったと思います。その中で柏のクレバーさを活かしたゴールは自分たちにとって大きな意味のあるものでした。そこでリードできたことは、後半に向けてすごくラクになりました」

──マルコス・ジュニオール選手とピエロス・ソティリウ選手が復帰し、ゴールも決めました。二人のプレーについて。
「マルコスは3カ月、ピエロスは4週間という長いケガから帰ってきて、すぐに良いパフォーマンスを見せてくれたのはすごく嬉しいです。マルコスはクリエイティブさを活かしたパスを出せるし、シュートも決められる。ピエロスは素晴らしいストライカーだというのを見せられたと思っています」

──ルヴァンカップは若い選手がチャンスを与えられることが多いと思いますが、今日はベンチを含めて中堅選手からベテラン選手まで起用しました。その意図を教えてください。
「自分たちのチームはベテラン選手が多いというのがありますし、彼らも自分のパフォーマンスを見せたいところはあったと思います。こういうトーナメントでは、試合の中でどれだけ自分のパフォーマンスに自信を持って発揮できるかが重要になります。ただ、我々のチームには今日連れてこなかったユース所属の選手もいますし、それ以外でも出場しなかった若手もいますが、今日は細谷(航平)も越道(草太)も出場しました。今日は若い選手も出たのではないかと思っています」

──細谷航平選手をリベロで起用した意図を教えてください。また、柏好文選手はベンチにもずっと入らなかったですが、ずっと練習では意識高くプレーしていていました。そのプロフェッショナルな姿勢について。
「我々のチームのベテランと言われる選手、佐々木翔、塩谷司、青山敏弘、柏好文などたくさんいますが、クオリティーと試合に向かう姿勢は高いものがあると思っています。また、細谷に関して言うと、今は(荒木)隼人と(山﨑)大地がケガをしていない状況の中で、そのポジションが少なくなっていました。今日は彼もできることを証明できたと思います。彼はプレシーズンから良いプレーは見せていたので、良い機会になったと思います」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は奈良での平日ナイトゲームとなりましたが、約700名もの方にお越しいただきました。皆様の力強い後押しが、選手の力となり勝利に繋がりました。雨の中、相手に負けない熱い応援ありがとうございました!

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