5.19 14:00

明治安田J1 第15節 vs. 京都サンガF.C.
AWAYサンガスタジアム by KYOCERA

試合終了

京都サンガF.C. 京都
0
5
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
3
0
後半
2

試合の見どころ

 広島にとっては一つの踏ん張りどころだ。前節・鹿島戦では、2試合連続となる序盤の2失点が響いて1-3の敗戦。前々節に課題となっていた試合の入りの悪さを再び露呈する結果となり、これでリーグ戦は2連敗となっただけでなく、6試合連続で勝利のない(4分2敗)苦しい状況となっている。ただし、試合はすぐにやってくる。次は中3日でのアウェイ・京都戦だ。「下を向かずにやり続けないといけない」(佐々木翔)。現実に向き合った上で、チームとしてどう立て直していくか。今こそ、広島の力が問われている。
 相手も苦しい状況だからこそ、今節の激戦は必至だ。現在の京都は4連敗中で、ここまでの戦績も2勝3分9敗の最下位と低迷。前節・浦和戦では、今季3度目の0-3での敗戦という厳しい結果となった。もっとも、京都の場合は成績だけで判断しては危険だ。就任4年目を迎えた曹貴裁監督のアグレッシブなスタイルは、当然ながらチームにしっかりと浸透している。川崎颯太や松田天馬ら高い技術と献身性を併せ持った選手たちを中心に攻守でまとまりのある戦いを繰り広げ、最後まで労を惜しまない。浦和戦も失点するまでは、ハードワークを武器に対等なゲームを見せていた。前線からの鋭いプレス、局面での球際の強さ、スピーディーな攻撃は相変わらず脅威であり、さらに今節はホームで連敗脱出を目指してより強い気持ちで臨んでくるだろう。「Jリーグで簡単な試合は一つもない」(ミヒャエル・スキッベ監督)。まさに相手の順位など、関係のない戦いとなる。
 広島のポイントは、我慢強さだ。2試合連続で序盤に2失点を喫している“立ち上がり”を克服することはもちろんだが、勝てていない直近の6試合中4試合で奪われている先制点も今のチーム状況を考えればどの時間帯でも与えたくない。サンフレッチェの持ち味である前線からのアグレッシブな守備で主導権を奪いに行くことはそのままに、相手に隙を与えず無失点で根気強くゲームを進めることができるか。今季は決定力不足が課題とはいえ、無得点で終わったゲームはわずか1試合。ゴールは奪えている。堅い試合運びで何とか勝利を掴みたいところだ。

監督 試合前日コメント

──連戦となりますが、選手の表情はどうでしょうか?
「連戦と言ってもまだ始まったばかりですので、疲れはないと思っています」

──京都は厳しい状況にありますが、現状をどう見ていますか?
「多かれ少なかれ、難しい状況というのはどのチームにもあります。その中で自分たちの強い部分を出していかないといけない、見せていかないといけないのは、どのチームも変わりません。京都はアグレッシブで勇敢なサッカーをやってきます。横浜FM戦では一人少ないながらも最後まで食い下がるなど、情熱的で熱いサッカーをやっています。また、神戸にも勝っているチームですので、我々もしっかりと戦わないといけません」

──危険な選手も何人かいます。
「前線の14番(原大智)の選手やその周りにいる速い選手、2列目からミドルシュートを打てる選手がいます。また、セットプレーはすごくクリエイティブなことをやってきます。ただ、一人の選手の名前を挙げるというよりも、Jリーグの中にダメな選手は一人もいません」

──連戦でも目の前の試合に全力を尽くすことは変わらないですか?
「本当に次の試合、次の試合になってくると思います。京都戦は中位にとどまるのではなく、上位を狙うのであれば重要な試合になります。その次のルヴァンカップ(対東京V)も次のステージへ進出するためには勝たないといけない重要な試合です。1試合、1試合やっていくことが本当に大事になります」

──京都戦に佐々木翔選手が出場すればJ1通算300試合達成となります。
「いつでも全力で、いつでも気を抜くことなく、本当に素晴らしいキャプテンですね」

ゲームレポート

紫軍団がようやく長いトンネルを脱出した。
 京都戦前の時点で6試合連続で勝利がなく(4分2敗)、さらには2連敗中。その2試合では序盤に2点を失うなど、立ち上がりの悪さが課題となっていたが、この日は最初からエンジン全開だった。京都の持ち味であるアグレッシブさに負けない気迫で序盤から立ち向かうと、いきなり試合を動かしたのは9分だった。鋭いプレスから高い位置で大橋祐紀がボールを奪うと、右サイドに流れたピエロス・ソティリウへとパスが繋がり、中央のクロスに飛び込んだのは川村拓夢。ハイプレスという広島の武器がいきなり炸裂して先制に成功した。
 その後もサンフレッチェの勢いは止まらなかった。続く12分には、相手を自陣へ押し込んだ状態から荒木隼人のロングフィードを起点に松本泰志、ピエロスへとボールが渡ると、左サイドからの折り返しに新井直人がダイレクトで合わせてあっという間に2点目を奪った。2-0とリードした中でも攻撃の手を緩めなかった広島は、25分にも志知孝明の左サイドからのCKを新井がヘディングで突き刺して3-0。直近の2試合とは見違えるような序盤の強さを見せて京都を圧倒する前半となった。
「本当に良いゲームができている。相手に何もやらせず、このまま勝とう!」
 ハーフタイムには見事な前半の戦いぶりを称えたミヒャエル・スキッベ監督。3点差を追い付こうと京都は残り45分でよりギアを上げてくることが予想された中、指揮官は隙を排除して選手を後半のピッチへ送り出した。
 広島の勢いは後半も止まらなかった。立ち上がりから落ち着いた試合の入りを見せると、55分、中野就斗の右サイドのスローインを中央でピエロスがそらすと、ペナルティーエリア内へ走り込んだ松本泰志が右足ボレーでネットを揺らして4-0。さらに69分には、敵陣右よりの直接FKを新井が芸術的なキックで沈めてハットトリックを達成する圧巻のゴールショーとなった。
 そこからも追加点を狙いつつ京都に反撃の機会を与えることなく堅い守備で試合を進めた紫軍団は、実に7試合ぶりとなる無失点での5-0の勝利。このゲームがJ1通算300試合出場となったキャプテン・佐々木翔のメモリアルマッチは、チーム復活の狼煙をあげる最高の大勝となった。

監督 試合後コメント

「ここ2試合負けていた中で今日のような試合ができて非常に嬉しく思います。今日は直近の2試合とは逆で自分たちが早い時間帯で2点リードすることができました。2点リードする、リードされる痛みを知っているので、そこがポイントだったと思います。チームは95分間、集中したパフォーマンスを見せてくれました。それから、今日は普段とは違うメンバーで臨んだのですが、彼らもしっかり自分を表現してくれました。この勢いを次のルヴァンカップ・東京V戦に繋げていきたいと思います」

──今日は前節から先発メンバーを5人入れ替えました。連戦を見越してのことでしょうか?それとも今日出た選手の状態が良かったからでしょうか?
「一つは、自分たちには先発11人以外に質の高い選手がたくさんいます。それと同時に直近の2試合は納得のいかないプレーや結果だったので、他の選手にチャンスを与える良い機会だと考えました」

──今日は野津田岳人選手のプレーは良かったと思います。大橋祐紀選手とともに45分で交代した理由を教えてください。
「まず負荷をかけ過ぎたくない部分がありました。大橋は少し前にケガをしていたことに加えて、前半にイエローカードを貰っていたことから交代しました。ガクについては、素晴らしいパフォーマンスでしたし、彼のプレーには納得していましたが、ハーフタイムに太ももに違和感があるということでしたので、リスクを回避しました」

──ハットトリックをした新井直人選手の先発の起用理由とパフォーマンスについて。
「直人の3点のゴールは、左足、ヘディング、それからFKの右足と3つの異なったシュートでした。いろんな才能を見せてくれた素晴らしいゴールだったと思います。彼を獲得した理由としても、いろんなことができる、いろんなポジションでプレーできる。これをもっと磨き上げることができるだろうと思っていました。そういった選手が自分たちのメンバーにいるのは嬉しく思います」

──佐々木翔選手がJ1通算300試合出場を達成しました。チームに与える影響やプレーについて。
「サンフレッチェのポジティブな部分にすべて関わっていると思います。スポーツマンとしてもキャプテンとしても素晴らしいです。彼のやり方は自然体で良いと思っています。常に集中して、常に高いレベルです。本当に素晴らしい選手なので、なぜ高校から直接、J1に行けず、大学を経由してJ2でプレーしてJ1に到達したのか。寄り道した理由が見当たらないぐらいです。おそらく、このクオリティーを維持していくと思うので、450~500試合ぐらいは出るのではないでしょうか(笑)」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は京都での試合となりましたが、約1,800名もの方にお越しいただきました。試合前からの皆さまの熱い声援が選手の大きなパワーとなり、7試合ぶりの勝利に繋がりました。最後まで力強い後押し、ありがとうございました。

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