6.15 18:30

明治安田J1 第18節 vs. 東京ヴェルディ
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試合終了

サンフレッチェ広島 広島
4
1
東京ヴェルディ 東京V
1
前半
0
3
後半
1
  • 後半45+5分
    木村勇大

試合の見どころ

 紫軍団の勢いが増している。リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と3つの大会が入った6月の“9連戦”は4試合を消化して4連勝。層の厚さも示しており、8強進出を決めた9日のFC東京戦から中2日で臨んだ12日の天皇杯2回戦・下関戦では、先発11人全員を入れ替えるターンオーバーで臨みながら11-2と圧勝した。もちろん相手はカテゴリーが下のチームだったとはいえ、ドウグラス・ヴィエイラと小原基樹がハットトリックを達成した他、多くの選手が充実したプレーでアピールするなど「本当に全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」(ミヒャエル・スキッベ監督)。指揮官にとって嬉しい悩みを持って、残りの5連戦に臨むことになる。
 その勢いを持って戦う今節、同じく調子を上げているチームとの対戦だ。相手は現在リーグ戦2連勝中の東京V。前々節では王者・神戸を2-1で倒し、前節は札幌相手に攻撃陣が爆発して5-3で勝利している。すでに広島は東京Vと5月22日のルヴァンカップで激突して3-2で勝利しているが、当時の相手は主力を温存しており、今回は別のチームと考えたほうが良い。特に戦術家・城福監督は広島戦以降からシステム面でテコ入れを図っており、神戸戦から従来の4バックではなく、3バックへシフトチェンジ。これが奏功して神戸と札幌を破るなど、相変わらず組織的な堅いチームを維持している。
 もともと、東京Vの敗戦数は広島の『2』に次ぐ『3』とリーグでも上位の負けの少ない粘り強いチームではあったが、今は攻撃面も好調だ。特に相手に脅威を与えているのが、札幌戦で2得点ずつを奪った木村勇大と染野唯月だ。木村が185cm、染野が181cmと高さと強さがあることに加え、前への推進力もあり、得点力も高い。木村の札幌戦の2得点はどちらも背後への飛び出しで、染野も巧みなシュートを見せ付けた。森田晃樹や見木友哉といったセンスのある配球役もおり、敵としてはかなり厄介だ。広島守備陣も最後まで集中した守りが求められる。
 サンフレッチェの勝利のポイントは、先制点だろう。時に5バックとなる相手の守備はやはり堅く、今節はそう簡単に点は取らせてもらえそうにない。そこで焦れて相手に先制点を与えてしまえば、より東京Vは守備の集中力を高め、堅守速攻に徹してくるはずだ。広島としては、いつもどおりのハイプレスで主導権を握りながらも相手攻撃陣を確実に封じ、無失点で試合を進めること。そうすれば必ず得点チャンスは訪れる。ロースコア覚悟の上で臨み、勝利をもぎ取りたいところだ。

監督 試合前日コメント

──東京Vとはルヴァンカップで対戦していますが、当時とはメンバーは代わりそうですし、今はフォーメーションも変わっています。
「東京Vに関わらず今季の昇格組の3チームは本当に素晴らしいサッカーをしていますし、J1のレベルにあると思っています。東京Vについては、攻撃の部分で魅力的なサッカーをしています。速い攻撃で札幌戦でも多くの得点を取っている。本当に良いチームだと思っています。また、城福監督は良い仕事をしていますね。広島でも良いチームを残してくれました。東京VではJ2で良いチームを作り上げて昇格し、J1でやっていけるだけのチームに育てていると思っています」

──あらためて、天皇杯2回戦・下関戦での収穫はどのあたりにありますか?
「出場した選手たちが最高のパフォーマンスを見せてくれたと思っています。それは私にとっても良いことだし、出た選手も『自分もできる』と高い意識に繋がるところもあるので、本当に良かったです」

──チーム内競争も激しくなりそうです。
「ケガ人を除けば、どのポジションも競争が激しくなっているのはあります。それはチームにとってすごく良いことです」

──連戦はまだまだ続きますが、選手たちにはどのように臨んでほしいですか?
「過酷な連戦は我々だけではありません。我々としては直近のゲームに集中することはブレずにやっていきたいです。ケガ人や累積警告なども考慮しながら、その都度、一番良いメンバーで行きたいと思っています」

ゲームレポート

 紫軍団が攻守で強さを見せ付ける結果となった。
 試合を優位にする先制点を奪ったのは開始早々の2分だった。敵陣での左サイドからのFK、東俊希のクロスは相手DFにクリアされたが、そのこぼれ球を拾った加藤陸次樹がワントラップから右足を一閃。しっかりとコントロールされたシュートがネットに突き刺さり、早くもリードを奪った。
 その後は局面での激しいバトルが繰り広げられる肉弾戦となる中、全体的には広島がスピーディーな攻撃で敵陣へ進出する回数を増やしていく。19分、加藤のクロスを大橋祐紀がボレーで狙えば、24分には右からのCKでピエロス・ソティリウと川村拓夢が立て続けに決定機を迎える。さらに東京V攻撃陣に対してはハードかつタイトな守備で封じながら、攻撃に移ればピエロスや大橋がシュートを放って追加点を狙うなど、主導権を握ったまま前半を1-0で終えた。
「前半はまったく問題ない。すごく良いサッカーができている。このまま行けば大丈夫!」
 ハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督からそう指示を送られて臨んだ後半も広島のペースは変わらなかった。開始直後から相手に圧力をかけて攻め込むと、またもキックオフから2分後に相手ゴールをこじ開けてみせた。左からのCK、東の鋭いキックに頭で合わせたのはピエロス。今季4点目は相手を突き放す貴重な追加点となった。
 このゴールで広島はより落ち着いてゲームを展開。相手にチャンスを作らせることなく試合を進めると、勝負をほぼ決定付けるゴールが生まれたのは62分だった。相手の縦パスを拾ったGK大迫敬介がダイレクトで前線へロングフィードを送り込むと、加藤が見事なトラップからゴール前へとボールを運び中央へクロス。これをフリーのピエロスが合わせて3-0とリードを広げた。さらに勢いが止まらない広島は82分、素早い攻撃から左サイド・東のクロスを途中出場のドウグラス・ヴィエイラが頭で合わせて4点目。その後、後半アディショナルタイムに東京Vに1点は返されたが、終始、主導権を握っていた広島が4-1で勝利した。
 2連勝中と勢いに乗っていた東京Vに3点差をつけての勝利に「今日は90分以上、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」と試合後のスキッベ監督も笑顔を見せた。

監督 試合後コメント

「今日は90分以上、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思います。前半からたくさんチャンスは作れたと思いますし、後半はさらに増えたと思っています。全体的なパフォーマンスには満足しています。今日は(川村)拓夢が最後の試合になりましたが、その中で非常に素晴らしいパフォーマンスを見せ続けてくれました。海外に行くだけのクオリティーは見せられたと思いますし、ここで学んだことを次のクラブで生かして、さらに強くなってほしい。彼はこれからのキャリアがある中で素晴らしい挑戦を引き続きやっていってほしいと思います」

──今日はピエロス・ソティリウ選手が2得点で加藤陸次樹選手が1得点、ドウグラス・ヴィエイラ選手が1得点。先発している選手の爆発力がここ数試合は続いていますが、彼らが点を取れるようになった理由はなんでしょうか?
「まずピエロスとドグ(ドウグラス)に関しては、フィットしてきたところはあると思います。もともと二人とも素晴らしい才能を持ったストライカーです。彼らがフィットしていれば、こういう結果は出せたと思います。陸次樹に関して言えば、良いチャンスは作れていましたけど、点は取れていなかった部分がありました。それも時間が経つにつれて解消できていますし、調子を上げてきて点を取れるところまできた。それと同時に(満田)マコも調子を上げてきていますし、二人のブラジル人(マルコス・ジュニオールとエゼキエウ)もフィットしてきている。これからも魅力的な攻撃ができるのではないかと思っています」

──1点を取った後、30分ぐらいまで相手に押し込まれる時間がありました。それはコントロールをしていたのか、それとも相手の勢いを受け止めていたのでしょうか。
「東京Vもポテンシャル、クオリティーがあったと思います。何度も言っていますが、今季の昇格組の3チームとも非常に良いパフォーマンスを見せていますし、町田に関してはもしかしたら優勝するのではないかというところにいます。それぐらいの良いチームなので、そういう(攻め込まれる)時間帯があるのは承知していました」

──川村拓夢選手に関しまして、試合後に大きな応援歌が流れていました。愛されていた選手だと思います。彼のキャリアの中で移籍やケガもありましたが、ここまでの歩みとこれからの期待を教えてください。
「彼自身、海外に行ってもまだまだ伸びると思っています。本当に驚くべき才能のある選手です。彼の特長としては弱点が少ないのもあります。ほぼ確信しているのは、彼はしばらくの間、海外で素晴らしいキャリアを積み、いつか塩谷(司)のように広島に戻ってきて、またさらに広島でそのキャリアを続けていくと思っています」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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