6.19 19:00

明治安田J1 第13節 vs. 横浜F・マリノス
AWAYニッパツ三ツ沢球技場

試合終了

横浜F・マリノス 横浜FM
3
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半27分
    ヤンマテウス
  • 後半42分
    アンデルソンロペス
  • 後半45分
    ヤンマテウス
1
前半
1
2
後半
1

試合の見どころ

 紫軍団にとって、一つの超えるべき山となる一戦だ。リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯が組み込まれた6月のハードな9連戦は5試合を消化して5連勝。11-2で勝利した天皇杯2回戦から中2日で迎えた前節・東京V戦でも攻撃陣が奮起し、4-1と力の差を見せ付ける結果となった。中3日で臨む今節・横浜FM戦もその勢いを持っていきたいところだが、やはりそう簡単に物事は進まない。前節終了後に海外クラブへの移籍準備のために川村拓夢が離脱したことに加え、横浜FM戦では累積警告によりキャプテン・佐々木翔が出場停止。中心となっていた二人を欠く中でどう乗り越えていくか。広島の力が試されている。
 相手がなかなか波に乗り切れていない部分でも不気味だ。決勝で敗れたとはいえ、ACLファイナリストまで上り詰めたアジア屈指の強豪である横浜FMが苦しんでいる。ACL決勝を戦った5月から6月にかけてリーグ戦7試合を消化し、結果は1勝2分4敗。特に前々節・鹿島戦、前節・町田戦の上位2連戦では、先制点を奪いながらも逆転負けを喫して2連敗となっている。内容は決して悪いわけではない。センターFWに君臨するアンデルソン・ロペス、サイドアタッカーのヤン・マテウス、宮市亮など、攻撃陣は相変わらずJトップクラスの爆発力がある。だが、失点すると一気に崩れているのがここ2試合であり、悪い流れを止められないのが逆転負けの原因となっている。広島としても横浜FMのそんな守備の隙を突いて行きたいところだが、当然ながら今節に向けて修正はしてくるだろう。さらに、もがいている現状から抜け出そうと、相手の気迫も相当なはずだ。今節も難しい戦いになるのは確実である。
 前節から必然的にメンバー二人の変更が求められるサンフレッチェは、総合力で横浜FM撃破を目指すことになる。もともと、ミヒャエル・スキッベ監督は選手が複数ポジションを務められるようなチーム作りをしてきており、地道に全体のレベルアップを図ってきた。もちろん、佐々木、川村の穴を埋めるのは簡単ではないが、出場する選手にとっては大きなチャンスだ。チームとしてもこの難局を乗り切れば、より成長する機会が広がっている。スキッベ監督は言う。「誰か一人に対して期待するのではなく、この状態をチーム全体で補いながら、どうにかやり切ること。その結果、誰かが出てくるのかもしれない」。サンフレッチェの底力を示す時。紫軍団はチーム全員の力で横浜FMを倒しに行く。

監督 試合前日コメント

──今節は佐々木翔選手が累積警告で出場停止となります。
「ディフェンスはだいぶ薄くなってきました。翔も(山﨑)大地も拓夢もいません。どうにかするしかない状況の中、相手の強いオフェンス陣を抑えないといけません」

──横浜FMは最近、なかなか結果が付いてきていません。
「横浜FMはACL決勝まで進んだのは称賛に値します。日本のサッカーを世界に示す良い活躍をしました。彼らはルヴァンカップの時には休んでいますし、ACLとリーグ戦を平行して戦っていた時よりも身体的な負荷はどんどん落ちてきて、調子はこれから上がってくると思っています」

──横浜FMにはアウェイで勝っているイメージがあまりありません。どう戦っていきますか?
「横浜FMはすごくオフェンシブでアグレッシブなサッカーをしてきます。しっかりとワイドを使い、真ん中には素晴らしいストライカーがいます。そこは彼らの強さであり、それをやらせないようにしないといけない。それと同時に、前がかりになる分、後ろは少しスペースを与えてくれるので、そこはしっかり突いていきたいと思っています」

──6月に入って公式戦5連勝です。うまくいっている要因は?
「これから先は我慢しないといけない状況だと思っています。累積警告やケガ人、それから移籍した選手がいる状況で、穴埋めができないポジションがあります。その中でやりくりしながら、どうにかやっていかないといけない。ケガ人や累積警告の選手が戻ってくる、それから移籍市場がもう一度開いて選手が獲れる状況になるまで、ここ5試合ぐらいは苦しい状態が続くのではないかと予想しています」

──川村拓夢選手が抜けたボランチは大変だと思いますが、どういう選手の台頭を望んでいますか?
「誰という話ではなく、チーム全体でそこのポジションを補っていくしかありません。誰か一人に対して期待するのではなく、この状態をチーム全体で補いながら、どうにかやり切ること。その結果、誰かが出てくるのかもしれません」

ゲームレポート

 ACLファイナリストである横浜FMのホームに乗り込んだ一戦。「これから先は我慢しないといけない状況だと思っている。やりくりしながら、どうにかやっていかないといけない」。ミヒャエル・スキッベ監督がそう語っていたように、前節終了後に川村拓夢が海外クラブへの移籍準備のために離脱し、さらに今節は支柱であるキャプテン・佐々木翔が累積警告で出場停止。主力二人を欠いて苦戦が予想された中、紫軍団はこの試合で最高の立ち上がりを見せた。
 開始早々の2分だった。左サイド・志知孝明のスローインから中央の満田誠、大橋祐紀へとボールが繋がると、背番号77のラストパスに抜け出したのは加藤陸次樹。相手GKとの1対1を冷静に決めて広島が先制に成功した。
 その後は互いに素早い切り替えからゴール前へ進出する強度の高い戦いが繰り広げる中、次第に横浜FMに押し込まれる展開へと推移。右サイドのヤン・マテウスを軸とした速い攻撃を何度も食らと、27分に決壊する。マテウスのドリブル突破から中央へ切り込まれて最後はワン・ツーパスでDFが崩されると、左足でのコントロールショットを決められて1-1。なかなかリズムに乗れない時間帯で同点に追い付かれてしまった。
 それからも攻撃力が落ちない横浜FMの圧力を受けると、41分には右サイドを抜け出したマテウスに再び決定機を作られるが、中央でフリーとなっていたアンデルソン・ロペスのシュートはGK大迫敬介がビッグセーブ。何とか同点のまま前半を終えた。
「最初はうまくいっていた。前のプレスはもっと厳しく。もっとインテンシティー高く!」。そうスキッベ監督が声をかけて臨んだ後半だったが、いきなり試練が待っていた。52分、満田誠が相手へのファウルでこの日2枚目の警告を受けて退場。後半の早い時間帯から一人少ない苦しい状況となってしまった。そうなると、残りは耐えながらカウンターを狙う戦いとなった。横浜FMにボールを保持されて押し込まれる状況が続く中、最後のゴール前では粘り強く、根気強く守って得点を許さない。左右のサイドから危険な攻撃を受けながらも何とかゴールを死守し、広島がボールを奪えば少ない人数でカウンターを繰り出す。すると、紫軍団のこの我慢が77分に結実する。敵陣での相手のスローインを大橋がカットすると、そのまま一人でドリブルで持ち運び右足を一閃。強烈なシュートがネットを揺らし、広島が勝ち越しに成功した。
 だが、やはり一人少ないダメージは終盤に出てしまった。相手が選手交代を使いながらより圧力を強めてきた中、87分、右サイドを崩されて同点に追い付かれてしまうと、90分には再びマテウスに左足で決められて2-3。「自分たちは最後の最後まで戦っていたと思うが、相手もそれを上回る攻撃を仕掛けてきた。最後のほうでゲームをひっくり返した彼らは力があったと思う」後半はほぼ10人で奮闘していた広島だったが、終盤に逆転を許す悔しい敗戦となってしまった。

監督 試合後コメント

「まずは横浜FMの勝利に『おめでとうございます』と伝えたいです。今日はイエローカード2枚の退場がゲームを決めたと思います。ただ、相手も自分たちも素晴らしいサッカーをしたと思っています。我々は長い時間帯で自陣からボールを遠ざけることができました。自分たちも耐え凌いでいたのですが、やはり最後のほうは耐えきれなくなってしまいました。現状、(山﨑)大地、隼人がおらず、そして今日は(佐々木)翔が累積警告でいませんでした。それから(川村)拓夢もおらず、特にDFの選手が少ない中で、これが耐えきれる限界だと感じました。ただ、スポーツですので、勝つチームもあれば、負けるチームもあります。これをしっかり受け止めて、次の柏戦に向けて良い準備をしたいと思います」

──敗れはしましたが、面白い試合だったと思います。その中で大橋祐紀選手にスーパーゴールがありましたし、越道草太選手は宮市亮選手にやられはしましたが、すごく頑張っていました。彼ら二人について。
「大橋と陸次樹は頑張ったと思います。素晴らしいパフォーマンスでした。一人減った中でも二人でチャンスを作ることができました。越道はまだまだ若くて、これから伸びていく選手です。マッチアップしていた宮市選手はエレガントで経験値も豊富で、速くてうまい選手。その中で何回かやられてしまいましたが、本当によく頑張っていたと思います。自分たちは最後の最後まで戦っていたと思いますが、相手もそれを上回る攻撃を仕掛けてきました。最後のほうでゲームをひっくり返した彼らは力があったと思います」

──川村拓夢選手が不在で、次節は満田誠選手が出場停止です。ボランチのやりくりについてどう考えていますか?
「もちろん頭の中にはありますが、ここで話すことではないと思っています。まず一つ嬉しいのは佐々木翔が戻ってこれること。また守備を強固にしながら、次の試合に向けてやっていきたいと思います」

──広島はシーズン前、優勝候補の一つという声もありました。ここまでの前半戦を終えて、満足していますか?
「もともと優勝というのは意識していませんでした。我々は良いチームであり、個人個人は上位に値するような選手が揃っていましたが、現状では一人、二人欠けていくと、全体の強さを失ってしまいます」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は横浜での平日ナイトゲームとなりましたが、約1,500名もの方にお越しいただきました。勝利はお届けできませんでしたが、皆様の力強い後押しが選手の大きな力になりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました。

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