8.7 19:00

明治安田J1 第25節 vs. 東京ヴェルディ
AWAY味の素スタジアム

試合終了

東京ヴェルディ 東京V
0
1
サンフレッチェ広島 広島
0
前半
0
0
後半
1
  • 後半33分
    佐々木

試合の見どころ

 勝負の夏の始まりだ。2週間半の夏季中断期間を終えて、いよいよ7日(水)からリーグ戦が再開する。長丁場のJ1も残すところ、14試合。梅雨が明け、夏真っ盛りの厳しいコンディションの中でまずはいかに勝点を稼いでいくか。シーズン終盤に向けて、この夏をどう乗り越えるかはどのチームにとっても大きなポイントだ。
 広島としては多少のマイナーチェンジをして臨むことになる。6月に野津田岳人と川村拓夢が抜けただけでなく、この中断期間中には今季リーグ戦で11ゴールを挙げていた大橋祐紀までが海外クラブへ移籍。サンフレッチェの大きな得点源だった男の離脱は当然ながらチームとして痛く、「大橋が抜けたことでオフェンスは非常に難しい状態なのは間違いない。彼がいるのといないのとでは、クオリティーが変わってくる」(ミヒャエル・スキッベ監督)。大橋が抜けた後の“得点力”はチーム全体で補っていくことになる。
 もっとも、中盤の構成は抜けた穴を大きな戦力で埋めることができた。7月に獲得したトルガイ・アルスランに続き、ベルギーでプレーしていた川辺駿が3年ぶりに復帰。ドイツやトルコ、イタリアなど、欧州の強豪クラブでプレーしてきたトルガイも大きな補強なのは間違いないが、サンフレッチェで育ち、スイスとベルギーで揉まれて帰ってきた川辺の帰還もチームをよりパワーアップさせる。今年9月で29歳。「年齢やパフォーマンス面でもこれからくるピークをこのクラブの為に闘いたいと思った」(川辺)と、まさにプレーヤーとしてピークを迎えるタイミングでの加入は頼もしい限りだ。登録の関係で川辺は東京V戦には出場できないが、まずはトルガイのJ1デビューに注目が集まる。
 再開初戦から勢いを付けたい東京V戦。今季はルヴァンカップを含めて東京Vとは2度戦い2勝と勝ち越しているが、簡単なチームでないことは分かっている。かつて広島でも指揮を執っていた城福浩監督は組織的かつアグレッシブなチームを作り上げており、J1昇格1年目ながら9位に付けているのは決して偶然ではない。策略家としても優れた指揮官は、広島の弱点を突いてくるのも間違いなく、チームとして練習から共有して試合に臨んでくるはずだ。反対に、どんな相手だろうと自分たちのサッカーを貫くことに重きを置くサンフレッチェは、東京Vの対策を上回って勝利を掴むことができるか。首位・町田とは勝点差9の5位。上位に食らい付くためにも、とにかく勝点を積み上げるのみだ。

監督 試合前日コメント

──リーグ再開を迎えますが、ここまでの準備について。
「この暑さの中、できる限りのことはすべてやってきました。ただ、移籍期間ではウインドーが開いた最初に選手が抜け、新しい選手を獲得できたのが後ろのほうになったので、コンビネーションの部分はもう少し時間がかかるのではないかと思っています」

──東京Vはハードワークをしてくるチームです。広島もその部分で負けられません。
「ハードワークの特長は自分たちにもありますし、そのせめぎ合いになると思います。また、相手はバリエーション豊富な攻撃をしてきます。今季の昇格組はどこも良いチームに仕上がっていると思いますが、城福監督は攻撃面でも良いチームを作り上げていると思っています」

──大橋祐紀選手が抜けて前線の組み合わせも多少変わってきそうです。
「大橋が抜け、さらに前線にケガ人も出ている中で、ディフェンスでしっかり守り切ることが重要になると思います。その中でもチャンスは作れると思いますし、しっかりと点を取っていきたいと思います」

ゲームレポート

 紫軍団が難局を乗り切った。
 雷の影響により前半20分を終えたところで試合が1時間30分も中断するハプニングに見舞われた一戦。20時50分に再開される難しい状況となったが、内容はその影響を感じさせない白熱した戦いで推移した。広島は持ち味のハイプレス&サイド攻撃を繰り出して相手ゴールへ迫れば、東京Vは素早いカウンターと細かなコンビネーションで広島に迫ってくる。だが、時間の経過とともにサンフレッチェは前への圧力を強めると、前半の終盤には敵を自陣へ釘付けにする戦いでハーフタイムを迎えた。
「シュートは集中して。クロスはもっと正確に。後半はもっとできる。3ポイントを取りにいくんだぞ!」
 後半に向けて、ミヒャエル・スキッベ監督からより発破をかけられて臨んだ残り45分、広島は前半同様に前からのプレッシングを武器に敵陣でのプレー時間を多くして先制点を目指した。47分、49分と加藤陸次樹が立て続けにシュートを放てば、51分には新井直人も果敢にゴールを狙う。それでも、なかなか得点を取れずにいると、スキッベ監督は動いた。60分、J1デビューとなったトルガイ・アルスランを下げて、ドウグラス・ヴィエイラを投入。189cmのストライカーを1トップに据えて前線に変化を出し、東京Vゴールをこじ開けにかかった。
 そこからは東京Vも攻撃にパワーを出してきたことでピンチもあったが、広島が誇る強力3バック&GK大迫敬介が最後の局面では強さを見せてゴールを割らせない。次第に広島の攻撃時間が減ってくる中、74分には満田誠に代えて中島洋太朗を入れるなど、選手交代も加えながらどうにかゴールを目指すと、ついにその時がやってきた。78分、右サイドの中島のCKから中央で混戦となると、こぼれ球に詰めたのはキャプテン・佐々木翔。豪快に右足で蹴り込んで広島が終盤にリードを奪った。
 結局、そのゴールを守り切ったサンフレッチェが1-0で勝利。雷の中断によって試合終了が22時を過ぎたタフな戦いを制してリーグ戦3連勝を飾った。

監督 試合後コメント

「非常に堅い試合で、どちらも良いところを出せなかったような試合だったと思います。東京Vはコンパクトな守備で非常に堅い守りを見せられて、自分たちはなかなかシュートまで持って行くことができませんでした。前半は(攻撃の)セットプレーであまりうまくいきませんでしたが、後半は一つうまくいって点を取ることができました。残りの5~10分は相手にも良いチャンスはあったと思います。ただ、今日は自分たちが失点ゼロに抑えられたこと、この東京Vとの難しいアウェイの試合で勝点3を取れたことは非常に嬉しく思っています」

──雷による中断で難しい面もあったと思いますが、中断の間に選手にどのような声をかけたのでしょうか?
「早い段階で長い時間の中断があると知らされました。選手たちは体が硬くならないように動いたりしていました。開始に合わせてしっかり準備することができましたので、その流れの中で中断明けもしっかり試合に入れたと思います」

──J1初先発となったトルガイ・アルスラン選手が素晴らしいプレーを見せてくれたと思います。今日のプレーについて。
「彼のクオリティー、インテリジェンスの高いプレーは見てのとおりだと思います。オーストラリアのプレシーズンの時に彼は来ましたが、コンディション的にここまで持ってこれたのは素晴らしいと思います。ただ、3~4週間のプレシーズンが始まった状態と考えれば、まだあと2~3週間(コンディションを上げるのに)時間がかかってもおかしくないと思います」

──22時を過ぎて18歳の選手が出場するのを初めて見ました(笑)。中島洋太朗選手らを含めて、ベンチメンバーの層について。
「ドイツでも22時以降は16歳以下はダメなど、そういうルールはあります(笑)。今いるメンバーでも若い選手はたくさんベンチにも入るようになりました。今日プレーした洋太朗もそうですし、(井上)愛簾もそうです。サンフレッチェ自体が育成のクラブですし、次の世代の選手にもそういう機会を与えるスタンスを持っているクラブです。そこは、これからもどんどんやっていきたいと思います」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は東京での平日ナイトゲームとなりましたが、約2,500名もの方にお越しいただきました。雷による1時間30分の中断がありながら、最後まで選手へ力強い後押しをしてくださったことで勝利に繋がりました。応援、ありがとうございました。

試合情報をシェア!

x