9.14 18:00

明治安田J1 第30節 vs. 鹿島アントラーズ
AWAY県立カシマサッカースタジアム

試合終了

鹿島アントラーズ 鹿島
2
2
サンフレッチェ広島 広島
  • 前半17分
    知念
  • 後半37分
    徳田
1
前半
2
1
後半
0

試合の見どころ

 まさに総力戦だ。PK戦の末に敗れる悔しいゲームとなった8日(日)のルヴァンカップ準々決勝・名古屋戦から中2日で戦った天皇杯準々決勝・G大阪戦も1-2で敗戦。国内3大タイトルの内の二つが1週間でなくなってしまった精神的なダメージは当然ながら大きく、切り替えるのは簡単ではない。だが、試合はすぐにやってくる。今節は再び中2日で鹿島線だ。G大阪戦と同様、相手はこの試合までに3週間近くの間隔が空いており、コンディションは問題なし。反対に8月末から中3日や中2日の試合を戦い続けてきた広島は、この5連戦ラストの難局をいかに乗り越えるか。国内タイトルはもうリーグ戦のみ。まさにすべてを懸けて鹿島戦から再出発を図る。
 相手の実力も確かだ。鹿島は直近のリーグ戦3試合こそ1分2敗と勝利がないとは言え、ここまで14勝6分8敗の4位と上位につける充実のシーズンを送っている。今季から指揮を執るランコ・ポポヴィッチ監督は、細かなパスを駆使したコンビネーションサッカーを志向しているとあって、前線が流動的に動く攻撃的なスタイルを実現。得点能力が高く、周りも生かせる鈴木優磨が1トップで攻撃の中心となっているのは間違いないが、その周囲にいる名古新太郎や仲間隼斗、師岡柊生といった2列目の選手たちは機動力があり、チームに推進力を与えている。さらにボランチには元日本代表の柴崎岳、そして今夏に海外クラブから鹿島に帰ってきた三竿健斗と経験値の高いプレーヤーが充実。最終ラインでは植田直通と関川郁万という対人に強いCBを中心に鹿島らしくハードに戦ってくる。全体的にタレントは揃っており、今節も難しい戦いになるのは必至だ。
 広島の勝利のポイントとしては、堅守復活だ。8日の名古屋戦も11日のG大阪戦も先制された後に追い付くことはできているが、その後にどちらも勝ち越されるなど、先に失点したことで試合を優位に進められていない。鹿島は攻撃力の高いチームだが、やはりまずは前線からのプレスをかけながらも球際で戦い、走力で上回り、粘り強い守備で失点しないこと。0-0の時間が長くなろうとも、必ずどこかで得点を奪うチャンスは訪れる。もちろん、今は肉体的な疲労もあれば、精神的な疲れもあるだろう。だが、この難局を乗り越えた先に、チームとしてさらなる成長が待っている。高みへ到達するためにも、何とか勝利をもぎ取りたい一戦だ。

監督 試合前日コメント

──直近の2試合は負けたとは言え、決して内容は悪くありません。
「選手たちはサッカーの内容面では本当に良くやったと思っています」

──敵地での鹿島戦は厳しい戦いになりそうですが、勝つためのポイントは?
「まずはセットプレーには気を付けないといけません。関川(郁万)、植田(直通)、鈴木(優磨)などはヘディングの強さがあります。オフェンスの部分でも速くて技術のある選手が多いです。ここまでやってこれただけの実力があるチームだと思っています」

──川辺駿選手は直近の試合で先発から外れましたが、求めたいことは?
「『全力でいけ』ということです。少し日本のサッカーに慣れていないかもしれません。日本人なので、そういうことはないと思っていたのですが、ヨーロッパに長くい過ぎたかもしれませんね(笑)」

ゲームレポート

 最後の最後まで目の離せない一戦となった。
 試合は序盤からシュートが飛び交う“乱打戦”となった。1分、4分、12分とJ1初先発となったゴンサロ・パシエンシアが決定機を含めて3本のシュートを放つなど幸先の良い出足を見せた広島だったが、一瞬の隙を突かれたのは17分だった。左サイドのCKから知念慶に頭で決められてしまい先制を許してしまった。だが、紫軍団もすぐに反撃に出た。19分、右サイドでCKを獲得すると、新井直人のキックからゴンサロが豪快なヘディングシュートでネット揺らして、同点。早くも試合を振り出しに戻した。
 その後は互いに攻撃で良さを出す攻守の入れ替わりが激しい一進一退の攻防。21分に鹿島のCKからポスト直撃のシュートを打たれれば、27分には右サイドを完全に崩されて決定的なピンチを招く。どちらも枠に飛ばなかったことで助かった広島は、36分、決定機を確実にモノにした。ボランチ・川辺駿が左サイドへ飛び出すと、鋭いドリブルで相手をかわして中央にラストパス。これを松本泰志が決めて、逆転に成功した。
 1点差のリードで迎えたハーフタイム、ミヒャエル・スキッベ監督は相手の鋭いカウンターと強力なセットプレーに警戒することを伝えた上で、力を出し切ることを強調した。
「このまま全力で行こう。潰れたら代わればいい!」
 後半は直近のゲームから中2日の疲労からか、鹿島に押し込まれる時間が増える中、広島は攻撃姿勢を出しながら集中した粘り強い守備で守り抜く。最後の局面では自由を許さず試合を進めていた広島だったが、鹿島の圧力に屈してしまったのは82分だった。右サイドをパスワークで攻略されると、最後は徳田誉に決められて2-2の同点に。それからも守備に追われる時間が続いた広島だったが、最後まで勝利を諦めずに戦い抜くと、後半アディショナルタイムには松本泰志に続きドウグラス・ヴィエイラが絶好の決定機を創出。だが、どちらも決めることができず、試合は2-2の引き分けとなった。
 リーグ戦の連勝は『7』でストップする結果となった広島だが、連戦でも最後まで勝利の執念を見せた選手に対し「チームが見せたパフォーマンスに関しては満足しているし、日本でもトップクラスのチームだと証明できたと思う」とスキッベ監督は称えた。

監督 試合後コメント

「二つの強豪が当たったJリーグの中でも素晴らしい試合だったと思います。前半は行ったり来たりの展開で、相手にも良いチャンスがありましたし、自分たちにも良いチャンスがありました。後半に関して言えば、ゲームをコントロールして、自分たちのほうがチャンスを作れたのではないでしょうか。その中で相手はユース育ちの交代選手がすごく活躍して、失点してしまいました。ただ、自分たちのパフォーマンスは本当に満足していますし、このチームを誇りに思っています。10日間の間で難しいゲームが4試合ありました。その4試合だけでなく、今日も後半アディショナルタイムまで、最後の最後までチャンスを作り出して、戦い続けた自分たちのチームを誇りに思います。結果は残念ながら望んだものにはなりませんでしたが、チームが見せたパフォーマンスに関しては満足していますし、日本でもトップクラスのチームだと証明できたと思います。また、日程で難しい部分もありましたが、我々のチームはすべての試合で素晴らしいパフォーマンスを見せ続けてくれました」

──ゴンサロ・パシエンシア選手を初先発させた中、初ゴールも挙げてくれました。今日の出来について。
「パシエンシアはゴールだけでなく、全体的に素晴らしかったと思っています。ただ、彼だけでなく、トルガイ(・アルスラン)や(川辺)駿に関しても、(シーズン途中の加入で)良い準備ができなかったですが、それでもここまで非常に良い働きをしてくれています。今日のパシエンシアはまだ90分できる状態ではなかったので途中交代となりましたが、夏の補強で入ったその3人はこれからも自分たちの助けになると思います」

──今日の川辺駿選手は塩谷司選手との縦関係でかなり高い位置にいました。トップ下のような位置に置いた狙いと効果は?
「もちろん川辺はあのポジションもできると思っていますが、彼がこれからもあのポジションでプレーするかどうかは周りの選手との関係性も考えないといけないと思っています。直近のゲームまでは塩谷がケガ気味だったので、(川辺を)後ろで使ったりもしていました。他の選手とのバランスによっていろんなポジションができると思っています」

──前半にセットプレーで失点したり、後半の最後の失点もそうですが、連戦で頭も体も疲労があったと思います。今日のゲームにどう影響したと思っていますか?
「今日の試合で疲労があったかどうかに関しては、最後の最後まで戦い続けたチームはどっちだったかと考えたら、自分たちだったと思います。もちろん頭も体も疲労はありましたが、それを感じさせないものを見せてくれました」

──後半は1点リードしている中で相手の攻撃を封じ込めていました。ただ、チャンスも前半に比べたら少なくなっていました。結果は別として、その試合運びについて。
「前半に比べると後半はシュートが少なくなったかもしれませんが、自分たちのサッカーがうまくいかなかったわけではなく、むしろプレスが機能していたと思います。最後のほうでチャンスを作れましたし、自分たちがやりたいサッカーを見せたと思っています」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は広島からは遠い鹿島でのゲームとなりましたが、約1,500名もの方にお越しいただきました。勝利をお届けできず、悔しい思いでいっぱいですが、皆様の力強い後押しは選手の大きな力となりました。最後まで熱い声援、ありがとうございました。

試合情報をシェア!

x