試合の見どころ
とにかく勝つのみである。リーグ戦もいよいよ残り2試合。1日先に今節を消化し、引き分けに終わった神戸との勝点差は『4』と、広島は優勝に向けてもう負けられない状況に追い込まれた。ただし、「そうしてしまったのは自分たち」(佐々木翔)。リーグ終盤にきて3連敗と、まさかの足踏みとなった原因は当然ながらチーム自身であり、あとはもう吹っ切って戦うしかない。「他力が必要だけど、自分たちは2連勝するだけ」(佐々木)。2戦2勝すれば、何が起こるか分からない。まずは“奇跡”を起こすための勝利が必要となる。
ホーム最終節も難解な相手との戦いとなる。現在の3連敗中の相手は残留が懸かったチームばかりであったが、今節も19位と苦しむ札幌だ。今日の他会場の結果によって9年ぶりのJ2降格が決まってしまったが、だからこそ、逆にメンタル的には吹っ切れて臨んでくることも予想される。さらに、2022年にミヒャエル・スキッベ監督が就任してからの札幌戦の対戦成績(リーグ戦)は4分1敗。一度も勝てていない相手でもある。
札幌は現在の順位にいるようなチームでもない。序盤戦の5連敗や5月から7月にかけて8連敗を喫した時期もあったが、そこから前節までの14試合は6勝5分3敗。負の連鎖を断ち切り、勝ち越している。選手の質も高く、前線には高さとスピードを備える鈴木武蔵や青木亮太、駒井善成、荒野拓馬の技巧派MF、そして推進力のある突破を武器に右サイドで存在感を示している近藤友喜など、タレントは十分。その選手たちが見せるペトロヴィッチ監督の代名詞であるコンビネーションプレーは相変わらず相手にとって脅威だ。反対に守備に脆さを見せるのも札幌の特長であったが、直近の3試合はわずか2失点。攻守でバランスが整っている今の札幌は、やはり難しい相手なのは間違いない。
広島の勝利のポイントとしては、前半からのチャンスをいかに冷静に決め切れるかだ。現在の3連敗中はほとんどが序盤からの多くの好機をモノにできず、相手の反撃にあった後半に失点を喫して勝負を決められるパターンだった。1点さえも与えまいと前半から必死に守ってくる相手の組織的な守備をこじ開けるのはもちろん簡単ではない。だが、そんな相手の執念をも上回る気迫を広島が見せなければ1点は遠い。今は優勝争いのプレッシャーもあるだろう。ACL2を戦う疲労もあるはずだ。ただし、泣いても笑っても、あと2試合。試合後に予定されている青山敏弘の引退セレモニーを盛大に盛り上げるためにも、チーム全員の力を結集させて札幌撃破といきたいところだ。
ホーム最終節も難解な相手との戦いとなる。現在の3連敗中の相手は残留が懸かったチームばかりであったが、今節も19位と苦しむ札幌だ。今日の他会場の結果によって9年ぶりのJ2降格が決まってしまったが、だからこそ、逆にメンタル的には吹っ切れて臨んでくることも予想される。さらに、2022年にミヒャエル・スキッベ監督が就任してからの札幌戦の対戦成績(リーグ戦)は4分1敗。一度も勝てていない相手でもある。
札幌は現在の順位にいるようなチームでもない。序盤戦の5連敗や5月から7月にかけて8連敗を喫した時期もあったが、そこから前節までの14試合は6勝5分3敗。負の連鎖を断ち切り、勝ち越している。選手の質も高く、前線には高さとスピードを備える鈴木武蔵や青木亮太、駒井善成、荒野拓馬の技巧派MF、そして推進力のある突破を武器に右サイドで存在感を示している近藤友喜など、タレントは十分。その選手たちが見せるペトロヴィッチ監督の代名詞であるコンビネーションプレーは相変わらず相手にとって脅威だ。反対に守備に脆さを見せるのも札幌の特長であったが、直近の3試合はわずか2失点。攻守でバランスが整っている今の札幌は、やはり難しい相手なのは間違いない。
広島の勝利のポイントとしては、前半からのチャンスをいかに冷静に決め切れるかだ。現在の3連敗中はほとんどが序盤からの多くの好機をモノにできず、相手の反撃にあった後半に失点を喫して勝負を決められるパターンだった。1点さえも与えまいと前半から必死に守ってくる相手の組織的な守備をこじ開けるのはもちろん簡単ではない。だが、そんな相手の執念をも上回る気迫を広島が見せなければ1点は遠い。今は優勝争いのプレッシャーもあるだろう。ACL2を戦う疲労もあるはずだ。ただし、泣いても笑っても、あと2試合。試合後に予定されている青山敏弘の引退セレモニーを盛大に盛り上げるためにも、チーム全員の力を結集させて札幌撃破といきたいところだ。
監督 試合前日コメント
──フィリピン遠征を終えたばかりですが、選手のコンディションはいかがでしょうか?
「フィリピンに行って試合に出なかった選手もいますし、広島に残っていた選手もいるので、今日はいつもの前日練習より長めにトレーニングを行いました」
──札幌は難しい状況の順位にいますが、最近は勝点を重ねています。
「札幌は調子を上げてくるのが、もしかしたら遅過ぎたかもしれません。ただ、今は良い状態にあるのは間違いありません。私が就任してから(リーグ戦では)4分1敗と1回も勝っていませんし、そこは打ち崩したいと思っています」
──札幌戦の内容はずっと押し込まれたり、多くピンチを作られているわけではないのに、点を取れないゲームとなっています。やりにくさはありますか?
「これまで札幌には勝てておらず、点もあまり取れていない状況はあります。やはり点を取るという部分、チャンスは作れているけど、点を取れない状況をどうにか打開していかないといけないと思っています」
──先日に話を聞いた時には、「札幌の難しい状況は関係なく、自分たちが勝利することに集中したい」と言っていました。その思いは変わりませんか?
「そのとおりだと思います。相手がどういう状況、どんな相手というよりも、むしろ自分たちがどういうサッカーができるかにフォーカスするべきだと思っています」
──明日は青山敏弘選手の引退セレモニーがあり、柏好文選手もホームラストゲームとなります。
「アオは21年、カシは11年と、サンフレッチェの象徴、顔であった選手たちなので、最後は良い形で終わりたいと思っています」
「フィリピンに行って試合に出なかった選手もいますし、広島に残っていた選手もいるので、今日はいつもの前日練習より長めにトレーニングを行いました」
──札幌は難しい状況の順位にいますが、最近は勝点を重ねています。
「札幌は調子を上げてくるのが、もしかしたら遅過ぎたかもしれません。ただ、今は良い状態にあるのは間違いありません。私が就任してから(リーグ戦では)4分1敗と1回も勝っていませんし、そこは打ち崩したいと思っています」
──札幌戦の内容はずっと押し込まれたり、多くピンチを作られているわけではないのに、点を取れないゲームとなっています。やりにくさはありますか?
「これまで札幌には勝てておらず、点もあまり取れていない状況はあります。やはり点を取るという部分、チャンスは作れているけど、点を取れない状況をどうにか打開していかないといけないと思っています」
──先日に話を聞いた時には、「札幌の難しい状況は関係なく、自分たちが勝利することに集中したい」と言っていました。その思いは変わりませんか?
「そのとおりだと思います。相手がどういう状況、どんな相手というよりも、むしろ自分たちがどういうサッカーができるかにフォーカスするべきだと思っています」
──明日は青山敏弘選手の引退セレモニーがあり、柏好文選手もホームラストゲームとなります。
「アオは21年、カシは11年と、サンフレッチェの象徴、顔であった選手たちなので、最後は良い形で終わりたいと思っています」
ゲームレポート
この試合前の時点で首位・神戸と勝点4差。負ければ優勝の可能性が潰える一戦で、広島が意地を見せた。
序盤から迫力ある攻撃で札幌へ襲いかかった紫軍団は、いきなり試合を動かした。開始早々の8分、素早いリスタートから左サイド・東俊希がボールを受けると、低い位置からのアーリークロスにペナルティーエリア内で合わせたのは加藤陸次樹。右足ダイレクトで狙ったコントロールショットがゴールに吸い込まれ、先制に成功した。
その後も前線からのアグレッシブな守備をベースにした戦いで広島は主導権を掌握。1トップのゴンサロ・パシエンシアとトルガイ・アルスラン、加藤の1トップ2シャドーに加え、ボランチの川辺駿&松本泰志も果敢に前線へ飛び出してゴールを狙うなど、広島の攻撃が際立つ序盤となった。
その後は徐々に札幌にボールを持たれる時間が増え、42分に鈴木武蔵のゴールで同点に追い付かれてしまったが、広島はすぐに反撃に出た。ゴンサロが決定機を迎えるなど最後までゴールを目指した広島の姿勢が実ったのは前半アディショナルタイムだった。ハーフラインより少し前での右からのFK、東俊希の鋭いキックがそのままゴールネットに吸い込まれ、再び広島が勝ち越して前半を終えた。
後半の頭からは、ゴンサロに代えてピエロス・ソティリウを投入。前線に変化を加えて臨んだ広島は、前半同様、立ち上がりから札幌を攻め立てた。47分のピエロスのシュートを皮切りに、トルガイもチャンスを迎えると、勝負を決定付ける3点目が生まれたのは55分だった。相手のバックパスを見逃さなかった加藤が相手GKに倒されて獲得したPK、これをトルガイが落ち着いて決めて3-1とリードを広げた。さらに攻撃の手を緩めなかった広島は、79分にピエロスが4点目を奪取すると、直後の82分にはリーグ戦ホームラストマッチとなる青山敏弘を投入。イケイケムードの中で87分にピエロスがこの日2点目を決めて勝負あり。88分に今季限りでの退団が決まっている柏好文も起用するなど、まさにチーム全員の力で戦った広島が5-1で勝利した。これで首位・神戸に勝点差1に迫った広島は、次節のリーグ最終節に優勝の望みをつないだ。
序盤から迫力ある攻撃で札幌へ襲いかかった紫軍団は、いきなり試合を動かした。開始早々の8分、素早いリスタートから左サイド・東俊希がボールを受けると、低い位置からのアーリークロスにペナルティーエリア内で合わせたのは加藤陸次樹。右足ダイレクトで狙ったコントロールショットがゴールに吸い込まれ、先制に成功した。
その後も前線からのアグレッシブな守備をベースにした戦いで広島は主導権を掌握。1トップのゴンサロ・パシエンシアとトルガイ・アルスラン、加藤の1トップ2シャドーに加え、ボランチの川辺駿&松本泰志も果敢に前線へ飛び出してゴールを狙うなど、広島の攻撃が際立つ序盤となった。
その後は徐々に札幌にボールを持たれる時間が増え、42分に鈴木武蔵のゴールで同点に追い付かれてしまったが、広島はすぐに反撃に出た。ゴンサロが決定機を迎えるなど最後までゴールを目指した広島の姿勢が実ったのは前半アディショナルタイムだった。ハーフラインより少し前での右からのFK、東俊希の鋭いキックがそのままゴールネットに吸い込まれ、再び広島が勝ち越して前半を終えた。
後半の頭からは、ゴンサロに代えてピエロス・ソティリウを投入。前線に変化を加えて臨んだ広島は、前半同様、立ち上がりから札幌を攻め立てた。47分のピエロスのシュートを皮切りに、トルガイもチャンスを迎えると、勝負を決定付ける3点目が生まれたのは55分だった。相手のバックパスを見逃さなかった加藤が相手GKに倒されて獲得したPK、これをトルガイが落ち着いて決めて3-1とリードを広げた。さらに攻撃の手を緩めなかった広島は、79分にピエロスが4点目を奪取すると、直後の82分にはリーグ戦ホームラストマッチとなる青山敏弘を投入。イケイケムードの中で87分にピエロスがこの日2点目を決めて勝負あり。88分に今季限りでの退団が決まっている柏好文も起用するなど、まさにチーム全員の力で戦った広島が5-1で勝利した。これで首位・神戸に勝点差1に迫った広島は、次節のリーグ最終節に優勝の望みをつないだ。
監督 試合後コメント
「前半は緊迫感のある良いゲームだったと思います。札幌も良い形が出ていました。後半に関しては自分たちの圧が上回ったため、この得点差で勝つことができたと思っています。今日の試合で見せたパフォーマンスには満足していますし、しばらく点が取れていなかった中で今日は多く取れたことは評価できます。また、今日はアオ(青山敏弘)とカシ(柏好文)は選手としてホームゲームは最後ということで、良いお別れができたと思います。ただ、木曜日の試合(ACL2・東方戦)は、彼ら2人にも頑張ってもらいたいと思っています。東方戦に向けて良い準備をしたいと思います。その後の最後、大阪でも良いサッカーを見せたいです」
──大量得点ができた最大の要因はなんでしょうか?
「先週より狙いを澄ましたシュートが入ったということです」
──今日の勝利で3位以内が確定し、来季のACLエリートの出場権を獲得できました。
「アジアでできる最高レベルの試合に参加できるのを嬉しく思います。欲を言えば、アジアをすべてミックスして、(サウジアラビアにいる)C・ロナウドがいるチームなどと対戦したいと思っています」
──青山敏弘選手と柏好文選手に東方戦は頑張ってもらいたいとのことですが、先発でしょうか?
「足がもつまで頑張ってもらいます」
──今日は川辺駿選手に代えて青山敏弘選手、東俊希選手に代えて柏好文選手でした。世代交代のメッセージのようでしたが、当初から予定していたのでしょうか?
「この試合に関しては決めていました。もう一つ考えていたのは、(中島)洋太朗とアオが一緒のピッチに立つことです。昨年から合わせて4人の偉大な選手を失うことになります。昨年は林卓人、柴﨑晃誠という選手がキャリアを終えて、今年はアオがやめ、カシに関してはサウジアラビアに移籍するという噂がありますが(笑)、彼もこのチームでプレーするのは来週で最後になります。ただ、その4人の内3人がクラブに残り、また活躍する場があるというのは、サンフレッチェ広島がファミリーとして大きくなっている。良いファミリーの証明だと思っています」
──大量得点ができた最大の要因はなんでしょうか?
「先週より狙いを澄ましたシュートが入ったということです」
──今日の勝利で3位以内が確定し、来季のACLエリートの出場権を獲得できました。
「アジアでできる最高レベルの試合に参加できるのを嬉しく思います。欲を言えば、アジアをすべてミックスして、(サウジアラビアにいる)C・ロナウドがいるチームなどと対戦したいと思っています」
──青山敏弘選手と柏好文選手に東方戦は頑張ってもらいたいとのことですが、先発でしょうか?
「足がもつまで頑張ってもらいます」
──今日は川辺駿選手に代えて青山敏弘選手、東俊希選手に代えて柏好文選手でした。世代交代のメッセージのようでしたが、当初から予定していたのでしょうか?
「この試合に関しては決めていました。もう一つ考えていたのは、(中島)洋太朗とアオが一緒のピッチに立つことです。昨年から合わせて4人の偉大な選手を失うことになります。昨年は林卓人、柴﨑晃誠という選手がキャリアを終えて、今年はアオがやめ、カシに関してはサウジアラビアに移籍するという噂がありますが(笑)、彼もこのチームでプレーするのは来週で最後になります。ただ、その4人の内3人がクラブに残り、また活躍する場があるというのは、サンフレッチェ広島がファミリーとして大きくなっている。良いファミリーの証明だと思っています」