5.7 13:00

明治安田J1 第12節 vs. アビスパ福岡
HOMEエディオンスタジアム広島

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
3
1
アビスパ福岡 福岡
0
前半
1
3
後半
0
  • 前半30分
    山岸祐也

試合の見どころ

 再び上昇への階段を登れるかポイントとなる一戦だ。前々節・FC東京戦で連勝を「5」で止められて迎えた前節・C大阪戦。昨季、カップ戦のタイトルを争った難敵に対し、今年も最後の最後までもつれる激闘となったが、ドウグラス・ヴィエイラが後半アディショナルタイムに決勝点を奪って勝利を飾った。「(前節の勝利の)追い風に乗りたい」とミヒャエル・スキッべ監督。上位へ踏みとどまるためにも、ここから再度、連勝街道へ突き進みたいところとなる。
 ただし、今節も手強い相手との激突だ。ホームに迎える相手は、堅い守備力を備える福岡。昨季はルヴァンカップを含めて公式戦4試合を戦い、広島が3勝1分と勝ち越しているが、「組織だった守備をする、やりづらいチーム」とスキッべ監督が評すように、決して簡単に勝てた相手ではない。実際、3勝の内、2試合は1点差の勝利。組織的かつ力強い福岡守備陣に苦戦した印象が強く、今回もそう簡単にサッカーをやらせてはくれないだろう。
 また、今季は「(攻撃も守備も)どっちも良くなっている」(スキッべ監督)と攻撃面も脅威だ。ルキアンや山岸祐也といった強さのある選手は揃っていたが、今季はFC東京から紺野和也を獲得。161cmの小柄なアタッカーは、右サイドで切れ味鋭いドリブルやパスで福岡攻撃陣にアクセントを加えており、早くも中心的存在となっている。さらに他にも湘南からウェリントン、東京Vからは佐藤凌我といったストライカーを補強するなど、前線の選手層を分厚くしている。前節・FC東京戦でも持ち前の堅い守備力を活かしつつ、後半から攻撃の選手を積極的に代えて終盤に決勝点を奪うなど、今年の福岡も厄介なチームとなっている。
 では、広島はそんな相手をどう上回っていくか。ポイントは、やはり福岡守備陣の攻略だ。「チャンスやシュート数が多いわりに、点を取れていない現状があるのは間違いない」とスキッべ監督も認めるとおり、今季の広島は試合を支配している時間が長い割には得点を取るのに苦労している。今節も堅守が持ち味の福岡が相手とあっては、そう簡単には点を取れないだろう。ただし、前節・C大阪戦のように我慢強く攻撃を繰り出すこと。最後の最後に決勝点が生まれようが、勝ちは勝ちだ。「これまでと変わらずに続けることが大事になる」(スキッべ監督)。広島は継続を強みに得点力を高め、福岡撃破といきたいところだ。

監督 試合前日コメント

──アビスパ福岡の印象は?
「昨年まではタイトなディフェンスに特長があったと思うが、サッカーの面でも成長している。体が強いとか強く守ることに特長があったが、サッカーができるようになってきた印象がある。紺野(和也)など、オフェンスの選手が揃ってきている。(攻撃も守備も)どっちも良くなっている」

──ルキアン選手や山岸祐也選手もそうだが、紺野選手の突破力やアイディアも脅威だが?
「警戒しないといけないところだと思う。ただ、我々は前節・C大阪戦で最後の最後に3ポイントが取れたことを自信に繋げること。ここまでホームではあまり良いサッカーができていない部分はあるが、(前節の勝利の)追い風に乗りたい」

──相手の状況がどうであれ、自分たちのサッカーをすることを監督はいつも強調している。相手を押し込んだ状態で点を取ることの難しさもあると思うが?
「そのとおりだと思う。チャンスやシュート数が多いわりに、点を取れていない現状があるのは間違いない。ルヴァンカップはリーグ戦と試合数が違うのに、同じぐらい得点が取れているのもあるが、明日も最後の部分はしっかりやっていきたい」

──監督の言う「最後のところは丁寧に」という部分は選手に浸透しているように見えるが?
「そういった部分もあるが、今までは運が足りなかったり、相手GKが素晴らしいセーブを見せたりもしていた。おそらく、我々と対戦したGKはその週のベストイレブンに選ばれているのではないかというぐらい、良いセーブをされている(笑)。ただ、これまでと変わらずに続けることが大事になる」

ゲームレポート

 後半に強さを発揮する今季の紫軍団を象徴するゲームとなった。
 前半の広島は苦戦した。ハードかつ組織的な守備ブロックを形成する福岡に対して攻撃が機能せずに停滞すると、相手のペースで試合は推移。スピーディーなカウンターやサイド攻撃から自陣に押し込まれる我慢の時間が続いた。さらに21分には右サイドの満田誠が負傷交代するアクシデントがあるなど、前半は嫌な空気が流れていた。それでも途中までは何とか耐えていた広島だったが、攻略を許したのは30分だった。右サイドを崩されて送り込まれたクロスのこぼれ球から逆サイドにボールが渡ると、紺野和也の左足アーリークロスを山岸祐也に頭で合わせられて失点。悪い流れの中でリードを許してしまった。その後も攻撃のリズムが生まれない広島はほとんどチャンスを作り出せず。反対に福岡に何度も守備を攻略されるなど、前半は終始、福岡ペースで終えることになった。
 すると、ハーフタイムにミヒャエル・スキッべ監督は動いた。ナッシム・ベン・カリファに代えてエゼキエウ、野津田岳人に代えて志知孝明を入れ、2トップから従来の[3-4-2-1]システムに変更。ピエロス・ソティリウの1トップで福岡守備陣の打開を試みることになった。
 この策はいきなりハマった。「もっと良いサッカーをしよう!そこがキーポイントだ!」そう指揮官からの檄を受けた選手たちは、序盤からアグレッシブに試合に入った。果敢に敵陣へ進出すると、さっそくゲームを動かす。50分、後半からボランチへ入った東俊希が右サイドの越道草太へ展開すると、アーリークロスに頭で飛び込んだのはピエロス。加入後、ホーム初得点は豪快なヘディングシュートとなった。
 その後も広島はギアを上げて福岡ゴールへ迫った。前半とは反対に敵陣地でのプレー時間を多くすると、エゼキエウの個人技なども生かしながら2点目を目指す。そして、その圧力が実ったのが72分だった。敵陣右よりのFK、東の鋭い左足キックに対し佐々木翔と競り合った相手のオウンゴールを誘ってついに逆転。“後半の広島”がここでも発揮された。
 リード後も攻め手を緩めず福岡ゴールへ迫った広島は、89分、カウンターから川村拓夢が今季リーグ初得点を奪って勝負あり。逆転で福岡を倒したサンフレッチェがリーグ2連勝を飾った。
 苦しんだ前半から一転、後半によみがえって3得点を奪った選手たちについて、「後半に入ってから自分たちのサッカーが向上し、良いサッカーができるようになり、最後の最後まで点を取りながら勝つことができたのは本当に素晴らしかった」とスキッべ監督も笑顔を見せた。

監督 試合後コメント

「まずアビスパ福岡の前半のプレーは素晴らしかった。ただ、逆に後半は我々がファンタスティックな素晴らしいサッカーができたと思っている。総合的に見たらどっちのチームにも良いアクションがあった。Jリーグの中でも素晴らしい試合だったと思っている。後半に入ってから自分たちのサッカーが向上し、良いサッカーができるようになり、最後の最後まで点を取りながら勝つことができたのは本当に素晴らしかった」

──前半は広島のどこに問題があり、後半はどこを改善しようと思ったのか?
「前半の自分たちに足りなかったのはダイナミックで早いサッカー。そこができなかった。すべてのポジションでサッカーが早くなかった。そこが問題になった。後半はそこを修正し、(早いサッカーを)表現していこうと話をした。後半はそれができたと思っている」

──後半から志知孝明選手を左サイドに入れ、東俊希選手をボランチに変更したのが当たったように見えたが、そこの狙いは?
「今日の選手交代はそこだけではなく、(満田誠の)ケガで交代して入った越道(草太)も素晴らしかった。それから志知とエゼキエウの二人に関しても、前へのダイナミックな動きを生み出してくれる良い働きをしてくれたと思っている」

──満田誠選手のケガの状態は?
「現状では何も言えない。ただ、彼はファウルを受けた後も数分間はプレーを続けていた。大事に至らなければいいなと思っている」

──今季は後半に見どころが多いが、後半の選手たちの勝負強さはどう見ているか?
「自分たちのチームにはそういう修正するクオリティーがあると思っている。特に前半はあまり良くなかったときは後半になって上向きになる。戦術の変更や人間的な強さをチームは持っている。監督として満足している部分は、前半はただサッカーをやっていただけという状態から、後半は全然違う顔になれること。もちろん、今季は横浜FM戦やホームの札幌戦などは前半からすごく良いサッカーができた。なので、我々は後半だけでなく前半も良いサッカーができると思っている」

──前半はシステム上のミスマッチがいくつかあったが、後半の交代でカバーされた。その交代の意図は?
「前半は機能しなかったことから変えざるを得ない状況になった。そのままやっていたら、後半も福岡が押してくるだろうというところから、我々は技術の高い選手を集めるようにした。選手たちは期待に応えてくれたと思っている」

フォト

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PLAYER OF THE MATCH

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