6.12 18:30

天皇杯 2回戦 vs. FCバレイン下関
OTHER福山通運ローズスタジアム

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
11
2
FCバレイン下関 FCバレイン下関
5
前半
1
6
後半
1
  • 前半32分
    西田憲誌朗
  • 後半27分
    米澤康太

試合の見どころ

 サンフレッチェが勢いに乗ってきた。6月1日からリーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と、3つの大会が中2日や3日で続く“9連戦”が組まれているなか、現在は公式戦3連勝中。連戦の初戦となった1日のJ1第17節・磐田戦を2-0で制すと、5日と9日に開催されたルヴァンカップ・プレーオフラウンドのFC東京戦でも、第1戦のアウェイを2-1で勝ち切ると、ホームでの第2戦も3-1で勝利し、2戦合計5-2で2年ぶりの8強進出を決めた。「この後は天皇杯という別のカップ戦が待っているので、そこもしっかり取っていきたい」(ミヒャエル・スキッベ監督)。リーグ戦とルヴァンカップで得た勢いを持って天皇杯初戦に臨むことになる。
 今回の最大の敵は、やはり油断だ。相手は日本の5部相当にあたる中国リーグ所属のFCバレイン下関。プロとアマチュアの戦いであり、実力では広島が「勝って当たり前」ではあるが、その空気感が過去にもさまざまな“ジャイアントキリング”を起こすキッカケになった。直近であれば2021年の広島も2回戦で関西1部リーグ所属のおこしやす京都ACに1-5の大差で敗れている。相手は格下とはいえ、今回の試合会場である『福山通運ローズスタジアム』という普段とは勝手の違うスタジアムでの戦いでもあり、勝利する難しさは監督、選手たちが何より感じている。試合前日練習の円陣でもスキッベ監督は選手に気持ちの準備を伝えた。「負ける可能性はいつでもある。集中して、しっかり試合に臨もう」まずは試合前からメンタル面の準備もしておく必要がある。
 試合に入れば、自分たちの攻撃的なスタイルを最初から発揮することだ。下関には元Jリーガーの岸田和人といった力のある選手もいるが、いつもどおり前線からのハイプレスでプレッシャーをかけ続け、相手を圧倒し、敵陣へ迫り続けること。J1でもトップクラスの強度を誇るサッカーを最初から出すことができれば、下関は後手に回るはずだ。そこで一気に畳みかけることができるか。逆を言えば、相手を甘く見て強度が下がれば、相手に隙を与えることになる。その隙が下剋上に繋がりかねない。まずはチーム全員がこの一戦に勝利する気概を強く持ち、全力で走り、戦い抜くことが大きなポイントになる。

監督 試合前日コメント

──明日は下のカテゴリーのチームとの対戦となります。どのように戦っていきますか?
「このクラブとしても下のカテゴリーのチームに負けた経験がありますし、そうならないように集中して臨む必要があると思っています。できることなら早い段階で良いサッカーを見せて、早い段階で得点を決めて、次のラウンドに気持ち良くいきたいです」

──昨年は3回戦で栃木SCに敗れていますが、最初からしっかりと行くことが重要になりますか?
「そうですね。ただ、昨年は不運が続きました。体調不良者が続出して、良い状態ではないなかでプレーしないといけませんでした。今回はそういう言い訳はありませんし、良い準備をして、良いサッカーをしたい。もちろん出場する11人はモチベーションも高く、コンディション的にも十分な状態で臨めます。また、この大会にも相手にもしっかりとリスペクトをして、そのなかで良いサッカーをやりたいと思っています」

──中2日の試合が続きますが、メンバー構成はどのように考えていますか?
「明日のメンバーはFC東京戦に出た選手の負荷を考慮して決めたいと思います」

ゲームレポート

 紫軍団が圧巻の攻撃力を見せ付けた。
 序盤から広島はエンジン全開だった。直近のFC東京戦から中2日とあって、先発11人全員を入れ替えて臨むと、フレッシュなパワーを生かして試合開始直後から下関に襲い掛かった。すると早々の7分、ドウグラス・ヴィエイラが自ら獲得したPKを確実に決めて先制に成功。これで優位に試合を進めると、ここから自慢の攻撃陣が次々と得点を重ねた。持ち味のハイプレスで相手を自陣に釘付けにして追加点を狙うなか、2点目が生まれたのは26分だった。青山敏弘の柔らかな縦パスに抜け出した小原基樹が相手GKとの1対1を冷静に流し込んで2-0。さらに勢いが止まらない広島は29分、満田誠がペナルティーエリアの外から強烈なミドルシュートを突き刺して3-0とした。  その後、32分に相手の鋭いカウンターから失点してしまったが、この日の広島の攻撃力は収まらない。前半アディショナルタイムに突入した45+2分、左サイド・柏好文のクロスを小原がボレーで合わし、これをドウグラスが頭で合わせて4-1。さらに攻勢を強めた広島は、45+4分にも青山のスルーパスに飛び出した満田が決め、前半だけで5-1のリードを広げた。
 こうなると、試合はもう広島のものだった。後半も圧力を弱めることなく試合を進めると、ドウグラス、満田、小原の1トップ2シャドーを中心に積極的にシュートを放って相手ゴールへ迫って行った。すると後半開始早々の51分、小原が得意のカットインからの右足シュートを決めて6-1。さらに攻撃の手を緩めずに攻め込むと、58分には左からのCKをドウグラスが頭で決めてハットトリックを達成した。
 そこからも、途中出場のマルコス・ジュニオールや小原のハットトリックとなる3点目、青山敏弘、エゼキエウにもゴールが飛び出し、終わってみれば11-2の大勝。日本5部相当の中国リーグに所属する下関に力の差を見せ付けて3回戦進出を決めた。

監督 試合後コメント

「今日は本当に楽しい試合になったと思います。我々だけでなく、下関が自分たちの目指すサッカーを見せてくれました。全体を通して魅力的なサッカーをすることができたと思っています。彼らは我々がやるような勇敢なオフェンシブなサッカーをしたと思っていますし、時には我々にとってすごく脅威でした。我々が喫した2失点は、彼らにとっては素晴らしい展開からのゴールだったと思います。それはゴールされるに値する得点でした。ただ、我々のチームのパフォーマンスも90分を通して多くのチャンスを作り出して集中したプレーを見せてくれました。そのなかでもいくつかは本当に素晴らしいゴールでした。この試合は私にとってもすごく良い経験になりましたし、福山で開催されたのも素晴らしいことだと思います。いつもこういう条件でサッカーをやらせてもらい幸せです」

──2失点は相手が素晴らしかったと称賛していましたが、カテゴリーが下のチームに失点することは日本ではネガティブにも捉えられます。この2失点について。
「まったく問題ないと思っています。それよりも相手には速い選手がいて、カウンターをしっかり仕掛けてきたことで2失点しました。本当に良い展開からのゴールだったと思います。特に1失点目は素晴らしかったです。そこに関しては相手をしっかりとリスペクトするべきだと思っています。我々の選手が悪かったとは思いませんし、相手がよくやったと思います」

──二桁得点はクラブ史上最多だと思いますし、二人のハットトリックも記憶にもありません。こういう攻撃ができたことについて。
「まずは相手がオフェンシブで勇敢なサッカーをしてきたことで今日の全体的な素晴らしいサッカーになりました。よくあるのが、カテゴリーが違う相手だと後ろを固めてカウンターを狙う。ただ、今日の相手は自分たちのサッカーをやろうとし、0-3で負けるのではなく、2-11で負けようとしたということ。彼らにとってもサンフレッチェ相手にこういうサッカーができたのは、良い経験になったと思います。我々もたくさんチャンスを作り出せたので、もっと点は取れたかもしれません。ただ、我々がアンラッキーであれば、相手も同じように2、3点多く取られてもおかしくなかったです」

──青山敏弘選手はすごいゴールに加え、2点目と5点目をアシストしました。今日の青山選手について。
「本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思います。パスの配給など、彼がここ20年間見せてきたパフォーマンスそのものだったと思います。試合後のファンとの雰囲気を見たら分かると思いますが、彼がどれだけこのクラブを愛しているか、愛されているかが伝わるパフォーマンスだったと思います。彼が36歳ぐらいの時に出会ったのが非常に残念で、25~6歳で出会っていたらもっと楽しかったと思います」

──今日はルヴァンカップから先発全員を入れ替えました。今日の試合で今後のリーグ戦に繋がるような活躍をした選手はいますか?
「ほとんどの選手がそういう活躍をしたと思っています。例えば、ドグ(ドウグラス)も前線でしっかりとボールを収めていましたし、だいぶ戻ってきています。途中から入ってきたブラジル人の二人(マルコス・ジュニオールとエゼキエウ)もケガで長くいなかったことを覆すようなダイナミックなプレーを見せてくれました。また、他のベテランたちも見合った活躍をしてくれました。カシ(柏)が出てきたら、どういうプレーができるかは誰もが知るところです。(松本)大弥も(小原)基樹も自分の役割をしっかりこなしてくれました。本当に全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思っています」

フォト

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