7.10 19:00

天皇杯 3回戦 vs. いわきFC
OTHERハワイアンズスタジアムいわき

試合終了

サンフレッチェ広島 広島
4
0
いわきFC いわき
0
前半
0
4
後半
0

試合の見どころ

 仕切り直しの一戦だ。長い長い6月の9連戦を終えて迎えた7月一発目の前節・神戸戦は、ホームで1-3の敗戦。互いに攻撃で良さを出す見どころの多い戦いとなったが、「もう少し運があれば勝てたかもしれないが、神戸が素晴らしかった」とミヒャエル・スキッベ監督も認める力負けだった。だが、下を向いている暇はない。リーグ戦はまだまだ先は長く、カップ戦もすべて勝ち残っている。次は中4日で天皇杯3回戦・いわきFC戦だ。連戦によるメンバー構成を問われた指揮官は、一言だけ語った。「勝つためにやる。」相手はカテゴリーが下のJ2クラブとなるが、紫軍団はすべての力を注いで戦う。
 簡単なゲームにならないことは広島の誰もが分かっている。敵地での3回戦と言えば、昨年、栃木SCに0-2で敗れた苦い思い出のあるシチュエーションだ。もちろん、昨年は体調不良者が続出していた時期であり、今年とは対戦相手も会場もメンバー構成も異なるが、ホームで高いモチベーションで臨んでくる相手を倒すのはなかなか難しい。さらに、いわきFCはJ2でも力のあるチームだ。今季ここまで8勝7分8敗の8位につけ、昇格プレーオフ圏の6位を狙える位置にいる。
 そんな相手のイメージは、湘南に近いかもしれない。指揮を執るのは湘南で現役生活を全うし、クラブスタッフを経て、いわきFCにやってきた田村雄三監督だ。システムは3バックを採用し、アグレッシブな戦いから繰り出すカウンターが一番の強み。攻撃に移った際の人が湧き出ていくスタイルは、まさに湘南らしく、広島としては警戒ポイントとなる。さらに若くて勢いのある選手も多く、前節・大分戦の先発の平均年齢は24.09歳。年代別日本代表でも活躍し、C大阪から期限付きで加入しているアタッカー・西川潤や鹿島育ちのストライカー・有馬幸太郎らが存在感を示し、他にも流通経済大や桐蔭横浜大など関東大学リーグの強豪育ちの選手を積極的に活用して活きの良い戦いをしている印象だ。なお、広島から期限付き移籍中の棚田遼は、契約により今回の試合には出場できない。
 サンフレッチェの勝利のポイントは、やはり攻守において相手を上回ることだ。いつもどおりのハイプレスでいわきFCを押し込み続け、相手の素早い攻撃に対しては最終ラインがハードに封じること。中盤でのセカンドボールの攻防も先手を取れれば、試合の主導権は必ず広島のモノになる。そして、カテゴリーが下の相手との戦いでより必要なのが、気の緩みを排除し、集中を研ぎ澄ますこと。神戸に負けた悔しさをまずはこの戦いにぶつけたいところだ。

監督 試合前日コメント

──いわきFCの印象は?
「若くて、すごくダイナミックなサッカーをする印象です。自分たちのサッカーを信じてやっています。今季はJ2リーグでも良いシーズンを送っているのではないでしょうか」

──フィジカルも強い印象です。
「もちろん相手も大事ですし、すべての面において注意しないといけませんが、それよりも自分たちがどういうサッカーをするかが大事です」

──昨年は天皇杯3回戦でJ2の栃木SCに敗れました。カテゴリーが下の相手との戦いでしっかり勝つためには?
「カップ戦は全チーム均等にチャンスがあります。どこのカテゴリーでやっているかではなく、その時には平等に戦い、勝ち残ったほうが上に進みます。(カテゴリーに関係なく)その試合で良かったほうが勝つということです」

ゲームレポート

 終わってみればサンフレッチェの強さが際立つ結果となった。
 昨年、栃木SCに0-2で敗れた天皇杯3回戦の“鬼門”。今年も広島は、集中力高く、粘り強く守ってきたいわきFCの攻略に手間取った。序盤は一進一退の内容で進むなか、20分頃からサンフレッチェらしいアグレッシブな戦いで主導権を掌握。相手にはカウンターを許さず、ほぼ敵陣へ押し込んでサッカーを展開してシュートを浴びせ続ける。さらに左サイド・東俊希と右サイド・新井直人を効果的に使いながら何度もクロスを送り込み、24分に負傷退場した加藤陸次樹に代わって入ったドウグラス・ヴィエイラや大橋祐紀、満田誠の前線に加え、ボランチ・松本泰志らも果敢に相手ゴールへ肉薄。だが、ゴール前で守備の人数をかけてきたいわきFC守備陣を崩すのは難しく、相手GKの好守もあって前半のシュート10本は空砲に終わった。
「だんだん良くなってきた。相手は体を張って守ってきている。ゴール前では落ち着いてシュートを打とう」
 前半の戦いを振り返ってハーフタイムに選手へそう指示を送ったスキッベ監督。まずは先制点を目指して広島は後半のピッチへ立った。
 すると、後半は圧巻のゴールラッシュが待っていた。序盤こそ前半同様に守備に徹するいわきFC守備陣の打開に苦戦したが、膠着した展開を動かしたのはキャプテンの一撃だった。相手を押し込み続けていたなかで迎えた62分の右からのCK、満田のキックに頭で合わせたのは佐々木翔。強烈なヘディングシュートを突き刺して、ようやく先制に成功した。
 こうなると、試合はもう広島のものだった。いわきFCを突き放そうと攻撃の手を緩めずに相手ゴールへ襲い抱えると、先制から4分後の66分だった。相手陣地でのプレスからボール奪ってショートカウンターを発動。満田、塩谷と渡った細かなパス交換から最後は大橋が冷静に決めて2-0とした。さらに勢いが止まらない広島は68分、満田の右からのCKを佐々木がまたも頭で突き刺して3-0。勝利をほぼ決定付けた。
 その後はマルコス・ジュニオールや中島洋太朗、柏好文、茶島雄介、ピエロス・ソティリウと次々と選手を送り込んだサンフレッチェ。後半アディショナルタイムには、ゴール前へ上がっていた佐々木のラストパスを受けたマルコスがトドメの4点目を奪って勝負あり。シュート数はいわきFCの3本に対し、広島は23本。結果的に地力の差を見せ付けた広島がラウンド16進出を決めた。

監督 試合後コメント

「まずは、いわきFCに良い条件でサッカーをやらせていただいたことに感謝します。いわきFCが最初の15~20分までは勇敢に良いサッカーをしてきたことで我々は2回ぐらいピンチがありました。それ以降は自分たちが主導権を握れたと思っています。チャンスを十分に作ることができましたし、相手を自陣から遠ざけることができました。その後は自分たちのサッカーができましたし、得点も取れました。今日は勝利に値すると思っています。ラウンド16に進めたことを嬉しく思っています。ただ、一つ心配なのは、加藤陸次樹が眉毛の下あたりをケガしてしまいました。佐々木翔と頭同士が当たり、あまり良い状況ではないかもしれません。できるだけ早くチームに戻ってきてほしいと思っています」

──途中からいわきFCが引いて守ってきたことでスペースがなかなかありませんでした。セットプレーでこじ開けましたが、途中からキッカーを満田誠選手に変更したのは監督の指示でしょうか? それとも選手たちの判断ですか?
「今回に関して言えば、後半に(満田)マコが蹴るようにとコーチ陣からの指示によるものです。もちろん、ゲームのなかで自分が蹴ったほうが良いと思った場合には、自分たちの判断でやっても問題ありません。何よりもマコが以前の良いパフォーマンスに戻っていることが嬉しいです」

──塩谷司選手がボランチで王様のようなプレーをしたと思いますが、次のリーグ戦に向けても手応えがあるのでは?
「ただ、ボランチは右CBをやっている時よりも走らないといけませんね(笑)」

──先制点がなかなか取れませんでしたが、どこかのタイミングでメンバーチェンジなど、動こうと思っていたところはあったのでしょうか?
「後半に関して言えば、2回の攻撃で1回はシュートまで行けるチャンスを作れる状況になっていました。もちろん、そのまま(0-0で)行った場合にはといろいろ考えてはいましたが、(先制点を奪うまで)時間の問題だとも思っていました」

──次は中3日でホーム・福岡戦です。
「陸次樹が戻ってこれる、戻ってこれないなど、いろいろ想定しながら良い準備をしたいと思います」

フォト

photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo photo 本日は平日のナイトゲームに加え、広島からは遠いいわきでのゲームとなりましたが、約500名もの方にお越しいただきました。
皆様の熱い声援が4-0の勝利に繋がりました。雨のなか、最後まで力強い後押し、ありがとうございました!

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