サポーターズ・カンファレンス議事録

クラブ全般について(代表取締役社長 仙田信吾)

 サンフレッチェファミリーの皆さま、コロナ禍でご自身が大変な状況にありながらも、当クラブへの温かいご支援、ご声援を賜り、誠にありがとうございます。2022年の「サポーターズ・カンファレンス」も対面での実施はかなわず残念に思いますが、改めまして、現在のクラブの状況と、今季の施策について、お話しいたします。

 まず経営面ですが、2021年度最終の売上は、34億5400万円を見込んでおります。しかしながら、2021年より始まりましたレジーナに関する収入を除くと、対前年比で1億6000万円のマイナスです。また、経常利益では4,500万円の赤字予定となっております。前年度よりも表面上、収支の改善はされておりますが、レジーナ初年度ということもあって、多くの支援金などが含まれていることを鑑みると、昨年度よりも厳しい数字となっております。
 コロナ禍による入場者数制限もあり、入場料収入も前年度割れをするなか、広告料収入は企業の皆さまのお力添えもあり、なんとか前年を上回ることができました。しかし、厳しい経営状況であることに変わりはありません。
 2022年度も、赤字予算を組まなければならない状況です。2018年に2位となり、いただいておりましたJリーグの理念強化配分金も、今年度はなくなります。先ほど、述べましたレジーナへの初年度の支援金もありません。
 しかしながら、なんとしてもJ1のステージに残るために、現有戦力を維持しつつ、新監督、およびコーチを招へいしました。J1の他クラブと比較し、強化費用として多くをかけることができないのは大変心苦しいですが、新スタジアムが完成する2024年を何としてもJ1のステージで戦うために、強化費用は削減せず増額いたしました。
 もちろん、私たちフロントも、コロナ禍を言い訳にして手をこまねくのではなく、対前年比で3億6800万円(収入の純減を考慮すると、6億6800万円)の売上増を目指します。売上を伸ばすためには、ある程度のコストも要しますが、削減する部分とコストをかけるところのメリハリをはっきりさせ、コストをかけるところは将来も含めた売上増につながるものとなるか、しっかりと精査をしていきます。また、新スタジアムでの売上増加、入場者数増を成し遂げるために、今から準備を進めて参りたいと思います。

 クラブは今年度、創立30周年を迎えます。先日、ホームページにて発表させていただきました通り、30周年の節目を機に様々な施策を行います。
 エディオンスタジアム広島を中心とした会場で、30市町の皆さまとともに作るイベントの実施を予定するほか、「ぶち紫大作戦」として、広島の街を紫に染めることを目指し、ポスターや幟などの掲出を増やして、常日頃からサンフレッチェに親しみを持っていただき、より愛されるクラブとなるよう努めます。また、広島の魅力を県内外の皆さまにより知っていただけるように、選手やクラブスタッフが様々なスポットを訪れ、シティプロモーションのような動画を制作し、配信することも検討しております。
 グッズは、新たなチャレンジとしてNEWラインナップ「BE BEARグッズ」を展開します。開発には外部の方とも意見交換をしながら行い、ファッション性・機能性を備えたラインナップで、サンフレッチェをもっと身近に、自由なスタイルで楽しんでもらうコンセプトのもとNEWグッズラインにチャレンジしていきます。また、30周年記念グッズとして、熊野筆やデニムグッズなどの、地元広島の企業様ともに作るアイテムも製作いたします。さらには、クラブが製作するもののみならず、すでに販売されているもみじ饅頭や日本酒のサンフレッチェパッケージ版のような、常日頃からお買い求めいただきやすいアイテムも増やしていきたいと考えております。

 昨年10月、クラブはSDGs宣言を行いました。SDGsという言葉こそ、近年、謳われ始めたものですが、私たちがクラブ創立以来続けてきた数々の活動は、まさにそのものと考えております。
 女子チーム・レジーナは、男女共同参画社会の実現に向けたシンボルともいえる存在です。WE ACTION DAY(理念推進日)も含め、より幅広く活動を行っていきたいと考えております。その他にも、カーボンニュートラル(脱炭素)への貢献として、バイオ燃料の活用や、『サンフレッチェ夢・チャレンジ大使』であるJAXAはやぶさ2プロジェクトマネージャの津田雄一様による出前授業など、多岐にわたって持続可能な社会の実現に向け、今年はより一層、その活動を推進し高めていく予定です。

 また、公式サイトのリニューアルや、公式アプリの立ち上げなども予定しております。アプリではサンフレッチェ広島に関する様々な情報やお楽しみコンテンツなどを提供できればと考えております。詳細につきましては、準備でき次第、改めてご紹介いたします。

 2022年、2023年の経営は、ここ数年のなかで最も厳しい状況となる見通しです。この2年を何とか耐え忍び、J1で新スタジアムの開業を迎えられるよう、クラブ創立30周年記念コンセプト通り、これまでクラブを支えていただいた広島県内30市町の皆さまとの連携をより強化し、経営面でも巻き返しを図って参りたいと思います。

 ここからは、事前にいただいた質問につきまして、回答いたします。
 昨年のサポーターズ・カンファレンスでもお話しいたしました「ファミリー」という呼称についてです。私たちからのお願いには唐突感があったかもしれません。ただ、100年に一度の厄災に、最後にすがるのは家族だと改めて教えてくれています。私たちは、皆さまと家族のような存在になりたい。たとえ様々な事情で天涯孤独という方であっても、選手やチームの存在が生きがいであれば、家族と呼んで心を一つにしていきたい。そうした気持ちであることを改めてお伝えいたします。
 皆さまとクラブの関係を、1つの家族に当てはめてみてください。家族であるからこそ、共に笑い、喜びも悲しみも共有できる。誰でもこの家にくれば仲間になれる。家族なら愛情をもって接し、ときに厳しく注意も叱咤もするが、決して人格は否定しない。励ましが何よりの良薬であることをよく知っている。感動を一番共有してほしい存在、それが家族です。ファミリーです。
 新スタジアムでは、興奮、熱狂、感動、歓喜を、臨場感あふれる素晴らしい環境で味わっていただけますが、先ほどもお話しさせていただいたとおり、それまでの2年間が正念場です。
 コロナ禍の入場制限があるなかでもご来場いただいた方々は、クラブを支えているまさに「サポーター」の皆さまです。しかし、クラブの安定経営のためには、ライト層のファンをもっと増やさなくてなりません。クラブは開幕キャンペーンに注力し、地上波のテレビ中継も増やしました。スタジアムでの場内演出やグッズ開発も、より多くの方に喜んでいただけるように努力いたします。しかし、肝要なのは、来てよかったと思ってお帰りいただけるスタジアムの観戦環境づくりで、特にみんなで応援する楽しさを感じていただくことです。ライト層のファンでも一体となって応援した思い出は、次のご来場につながり、ひいては選手のモチベーションにもつながります。サポーターとファンが一体になって、勝利を後押しする。繰り返しとなりますが、感動を一番共有してほしい存在、それがファミリーと呼びかけをする根本の理由です。何卒、想いをくみ取っていただければ幸甚です。

 クラブのOBである佐藤寿人さんのセレモニーに関する件についても、多数のご意見をいただきました。多大なる功績を残された佐藤寿人さんのセレモニーを実施したいという想いのなか、コロナ禍で入場者数が制限された状態が続いたこともあり、多くの皆さまの前でのセレモニーができる新たな日程を提示することができずにおりました。楽しみにされておりましたファミリーの皆さまにおかれましても、ご心配をおかけしましたこと、改めてお詫び申し上げます。
 先日、佐藤寿人さんとセレモニーにつきまして、改めて相談しておりますので、今しばらくお待ちください。詳細が決定いたしましたらお知らせいたします。

 今シーズンもチーム・選手は常に全力で戦うことをお約束します。スキッベ監督の下、懸命でひたむきに戦う選手の後押しを、ぜひともお願いいたします。広島を愛する皆さま、サンフレッチェファミリーの皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております。何卒よろしくお願い申し上げます。